あなたは、24/365というワードを一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?IT業界では良く使われるワードであり、365日24時間のことを指しています。特にインフラ回り等でトラブルが起きたら大きな被害が及ぼすようなものであれば、365日24時間監視が必要になってきます。
本記事では、そんな24/365について解説したいと思います。実際に運用を始めたいがどこから手を付けたら良いか分からない人も多いでしょう。
弊社はIT企業として20年以上の実績があり、これまでの経験から24/365の対応方法を解説していきたいと思います。ぜひお読みいただき、参考にしていただければ幸いです。
1. 24/365とは?
1章では24/365の概要を解説したいと思います。
1-1. 24/365とは、365日24時間稼働させること
24/365とは、数字の通り365日24時間のことです。コンビニエンスストアとかイメージしやすいですね。IT業界においても、365日24時間運用・監視する必要があるサービスがいくつかあります。そのようなサービスは少しでも止まってしまうと、多大な被害を及ぼすものが多いです。
システムはいつ不具合が起きるか分からない、いつ外部から攻撃を受けるか分からない、目に見えるものではないので、このような対応が必要になるケースが出てきます。
1-2. 24/365の対応が必要なケース
システム開発・運用保守において、24/365が必要なケースはダウンタイムが許されない重要なシステムになります。例えば以下のようなものが挙げられます。
- 金融システム:銀行、クレジットカード、ATMなど
- 医療システム:電子カルテ、緊急通報システムなど
- 災害管理システム:自然災害発生時の緊急速報など
- 交通管制システム:空港/鉄道/道路の管理システムなど
- 通信システム:携帯電話やPCのネットワークなど
- ECサイト:オンラインショップ、金銭が発生する取引サイトなど
- オンラインゲーム:MMORPG、PS、Switchなど
- 監視システム:セキュリティ監視、監視カメラなど
逆に24/365が不要なケースはどういうモノか見てみましょう。
- 一部の社内業務システム:人事管理、給与管理など
- 小売業の在庫管理システム:オフラインで営業時間外の小売業など
- 教育機関のポータルサイト:学校のポータルサイトなど
- ブログサイトや趣味サイト:まとめサイト、自己啓発サイトなど
24/365で対応している中の人は何をしているのか簡単に解説します。コンビ
1-3. 24/365で中の人は何をしているのか
ニであればレジ・品出し・防犯管理…等ですね。
<システム監視(アラート監視)>
システムが正常に動いているかツールを駆使して確認します。ツールにはアラート機能が備わっていることが多く、異常を検知したときにアラートが発令することになります。ただ、ツールに不具合があったらアラートが機能しなくなるので、目視による確認も実施します。
<セキュリティ対応>
ファイアーウォールの設定やウィルス対策の状況も管理しておく必要があります。
<バックアップ対応>
万が一、システムトラブルが起きてもすぐにバックアップのデータへ切り替えられるようにしておく必要があります。また、システムのデータは常に更新されていくものなので、そのデータがちゃんとバックアップされているか確認する必要もあります。
<トラブル対応>
アラートが発令したり、目視により不具合を発見したら対応に追われます。システムの説明書(手順書)が用意されているはずなので、それを確認しながら手順に沿って対応していくことになります。大抵、バックアップへ自動で切り替わって一時的にバックアップで運用、修繕されたら本番環境に戻すという形を取ります。
1-4. 24/365の費用相場は1ヶ月約250万円
365日24時間対応するとなると、1人1日8時間・月20日稼働とすると、5人でシフトを回すイメージです。スキル感にもよりますが、保守・運用が最低限できる要員と仮定しても最低50万円程度です。5人×50万円=250万円は最低でも費用として掛かる計算をすることができます。
2. 24/365の自社対応は厳しい、外注するべき理由
24/365を自社で対応するとなると、体制構築するまでにかなりの労力が掛かります。24/365を得意としている会社がいくつかあるので、外注する方が素早く体制構築することができます(自社の実績として残したいときは自社対応でも問題なし)。
2-1. 人材確保に時間が掛かる
365日24時間稼働できるようにシフトを管理する必要があります。そのためには、深夜や土日祝に働ける人を探さないといけません。且つエンジニアとしての知識も必要になってきます。そのような人材は限られており、確保するのが困難です。
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24/365を専門としてやっている会社に外注することで、既に体制は整っているはずです。自社でゼロから構築するよりも格段に速く対応することができるでしょう。
2-2. 離職率が増加傾向になる
深夜、土日祝に働くことが負担になり、離職する人が多い傾向にもあります。離職したら増員しないといけなく、出入りが激しい現場になる可能性があります。
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24/365を専門としてやっている会社に外注することで、そのような環境でも離職しない工夫がされているはずです。また、仮に離職したとしても外注先が増員の対応をするので、自社が動かなくても良いメリットがあります。
2-3. 運用コストが割高になる
自社でやるとなると、採用コスト、教育コスト、何かトラブルが起きた際のイレギュラーコスト…外注先に一括で依頼するよりも割高になります。24/365が対応できる会社を目指すのであれば、そのような投資は問題ないでしょうが、一時の対応であれば勿体ないコストになります。
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24/365を専門としてやっている会社に外注することで、何かしらツール等を入れて運用面での工夫もされているはずです。トータルで見たときに費用を抑えられるかもしれません。
2-4. 時差を利用した運用ができる
同じ日本国内では、同じ時間が動くのでどうしても「早朝・深夜」という概念が入ってしまいますが、海外であれば日本国内が深夜の時間帯が昼間である国が存在します。そのような時差を利用した運用も効果的です。
自社で海外に拠点を作るとなると時間も掛かる上に、ある程度リスクが付きまとってきます。
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既に海外に拠点を持っている会社に外注することで、そのような労力とリスクは回避することができます。
3. 24/365ができる外注先の決め方
24/365の対応については外注で調整したほうがメリットは大きいことは掴めましたでしょうか。3章では実際に外注先を選定するために何を気を付けたら良いのか紹介したいと思います。
3-1. 基本情報を調査
(1)過去5年の売上が右肩上がり
・過去5年間右肩上がりで上昇している会社はビジネスが回っている証拠として見て良いでしょう。
(2)資本金1,000万円以上
・資本金があまりにも低いと茶威力がない会社と見られます。何かトラブルなどが生じた際に、支払遅滞や支払能力無しという可能性が出てきます。
(3)帝国データバンクでの評価
・帝国データバンクで、その会社の評定をしてもらうことができます。
(4)過去の裁判沙汰等のトラブル確認
・過去に大きなトラブルを起こしていないか確認しましょう。信用度に繋がる問題なので、大事なところになります。
(5)口コミサイトの検索
実際の利用者の声は参考にすべき要素の1つです。ただ、鵜吞みにしすぎるのも危険なので1つの指標として参考にしてください。
※社内で外注するための規定が設定されている場合は、所属している会社の規定に沿ってまずは対応してください。
(6)これまでの実績を確認
・コーポレートサイトに掲載されているケースが多いので、まずはホームページを確認しましょう。
・それだけでは不安 or 掲載されていない場合は、直接問い合わせて類似実績を出してもらいましょう。
※実績を見てしっくりこない場合は、他の会社が良いかもしれないです。
(7)個人情報取り扱いに関する資格を確認
・「ISO27001(ISMS)」を取得しているか。
組織が情報セキュリティを確保するための仕組みを構築・運用できていることを証明するセキュリティに関する国際規格の認証です。国際規格なので、下記のPマークよりも難易度は高めともいえるでしょう。
・「Pマーク」を取得しているか。
Pマークとは、個人情報の適切な取り扱いを行っていることを示す日本独自の認証です。日本工業規格に基づく監査が必要で、Pマークの取得には特定の要件を満たす必要があるので、取得している企業は個人情報を適切に取り扱っている証拠にもなります。
(8)比較サイトを利用する
・比較サイトで複数の企業からの提案を見ることで、比較検討がよりしやすくなると考えられます。ただ、上記の確認ポイントや、次項で解説する内容を網羅している会社を優先することを忘れないようにしてください。
3-2. 社内体制を確認
(1)体制構築までに要する時間
素早く体制構築ができない場合、納期の見直しなどを検討しないといけなくなります。必ずいつから作業が開始できるか確認しましょう。
(2)商流の確認
場合によっては、2次請け・3次請けをしている可能性があります。商流が深くなるほど管理がしづらくなり、何かトラブルが起きたときの責任の所在も複雑になってしまうので、再委託する場合は事前に相談してもらうようにしましょう。
3-3. 見積もり金額を確認
(1)参考見積の作成依頼
・最終的な決め手となることが多いのが金額になります。自身の予算と照らし合わせて確認しましょう。
・1社だけでなく、3社程度から見積もりを取得するようにしましょう。
・安いに越したことはないですが、断トツに安い場合は、依頼の齟齬や安くできるカラクリがあるかもしれないので、金額と依頼内容の認識の最終確認をしましょう。
(2)見積もりをもとに金額交渉
・最初に提示された金額は、いろいろ上乗せにされている可能性が高いです。金額交渉して、1円でも安くできるようにお願いしましょう。
・交渉するときは、「他社よりも貴社の信頼を買っているが、金額で社内決済が通らず、他社は●●円なので、●●円(他社の金額に近いところ)まで下げられないか?」のような常套手段があります。
・金額が着地したら注文書と請書を取り交わすようにしましょう。 ※必要ない場合もあります。
4. 24/365が得意な会社5選
4章では24/365が得意な会社を5社ピックアップいたします。
4-1. 株式会社アクア
同社は、「24時間365日止まらないシステムを提供する」というポリシーのもと、アクセスの急な増減があった場合にも対応できるよう、Microsoft Azure上のインフラ構成を考えて提案を行っている会社です。
会社名 | 株式会社アクア |
設立 | 2000年4月 |
本社所在地(国内) | 〒102-0083 東京都千代田区麹町6丁目6−2 番町麹町ビルディング4F |
事業領域 | アプリケーションの開発・保守 インフラストラクチャーの構築・運用 クラウドサービスの提供 |
URL | https://aquait.co.jp/ |
4-2. 株式会社キャナリーリサーチ
鉄道会社向け24時間365日稼働気象情報監視システム・24時間365日稼働旅客情報システムをはじめ、大手コンビニ店舗用Webアプリケーションや、官公庁向けWeb電子申請システム、大手コンビニ向けクレジット決済サーバシステムなど、24/365の実績を多数持っている会社です。
会社名 | 株式会社キャナリーリサーチ |
設立 | 1984年8月 |
本社所在地(国内) | 〒150-0045 東京都渋谷区神泉町23-6 |
事業領域 | 電子計算機のソフトウェアの開発、および設計 電子機器、および電子機器を応用した機器の開発設計 電子機器、およびその関連分野におけるコンサルタント |
URL | https://www.canaly.co.jp/ |
4-3. 株式会社リンクネット
同社では24時間365日「止まらない」ITシステムであることを重視しています。具体的には、保守窓口に複数人の担当者を配置し、緊急時には休日でも連絡が取れる体制を確保。監視ツールの活用で、Webサーバには24時間「死活監視」を実施し、万が一止まった場合には弊社エンジニアにメール通知が入る仕組みを整えています。
会社名 | 株式会社リンクネット |
設立 | 1999年5月 |
本社所在地(国内) | 〒921-8163 石川県金沢市横川7-35-1 ルミエール横川5F |
事業領域 | ソリューション 企業向けシステム開発 WEBシステム開発 サーバー構築 システム保守 |
URL | https://link-nt.co.jp/ |
4-4. 株式会社アイテック
何らかのアクシデントで停止してしまった場合は、できるだけ早く復旧させ、ダウンタイムを短く抑えなければなりません。その点、同社には24時間365日体制の運用チームがあるため、サポートサービスの契約をしているお客様は深夜・早朝・土日祝祭日・GW・お盆・年末年始でもご相談可能です。
会社名 | 株式会社アイテック |
設立 | 1996年9月 |
本社所在地(国内) | 〒105-0021 東京都港区東新橋2-11-7 住友東新橋ビル5号館1階 |
事業領域 | エンベデッドシステムソリューション オープンシステムソリューション インフラソリューション カスタマーサポートソリューション |
URL | https://www.itecgr.co.jp/ |
4-5. 株式会社ギガ
業務システム開発・運用に付随するサービスとして、アプリケーションシステムを安定稼動させるため、24時間対応の運用サポートサービスも含まれた高品質の「データセンターサービス」があります。
会社名 | 株式会社ギガ |
設立 | 1974年9月 |
本社所在地(国内) | 〒154-0024 東京都世田谷区三軒茶屋2-11-26 コア第2ビル9F |
事業領域 | システムインテグレーション ネットワークソリューション サイバー攻撃、不正アクセス対策ソリューション |
URL | https://www.giga.core.co.jp/ |
5.「24/365」のまとめ
いかがだったでしょうか。24/365について、概要から進め方、会社選びまで紹介してきました。24/365を自社で対応するとなると、時間も掛かり運用後の管理もかなり大変なので出ていくお金が増えてしまいますが、そこは24/365に慣れている会社に依頼するのが確実でしょう。そして人の管理は発注先の会社が対応することになるので、自社の負担も減らすことができます。
24/365を上手く回すコツとして海外の時差を活用した方法もあるでしょう。近隣の国ではあまり時差がないのでアメリカに拠点を設ける方法もあります。
そんな弊社は24/365については対応していません。しかし、ベトナムに拠点を持っているのでその僅かな時差を利用した開発をすることはできます。会社を立ち上げてから24年が経ちます。長年の経験からシステム開発の手段について様々アドバイスできると思います。システム開発で行き詰った時には、どんな些細なことでも、お気軽にお問い合わせいただければと存じます。相談は無料!です。