
業務効率化は、企業の成長と従業員の満足度向上に不可欠です。本記事では、業務効率化を着手するのにあたり、どのように進めたら良いか解説していきます。これから進める方、進めている途中で悩まされている方は是非1つの参考資料になればと思います。
弊社はシステム開発会社です。まさに様々な企業のIT化導入支援をしている会社であり、IT化することで業務効率化を図る支援をしています。会社を立ち上げてから約25年経つこれまでの経験から本記事を通して業務効率化の進め方を紹介していきたいと思います。
1.業務効率化とは?その本質と生産性向上との違い
本題に入る前に、1章では業務効率化について簡単に解説していきます。
1-1.業務効率化の定義と重要性
業務効率化とは、組織が目標達成のために、資源(時間、コスト、人材など)を最適に活用し、無駄を排除する取り組みのことです。業務プロセス全体を見直し、改善することで、より少ない資源でより大きな成果を上げることが可能になります。
これは、単に作業を早く終わらせるだけでなく、品質を維持または向上させながら、従業員の負担を軽減し、満足度を高めることにもつながります。業務効率化は、企業の競争力を高める上で不可欠な要素であり、持続的な成長を支える基盤となります。
そのため、企業は常に業務プロセスの改善を追求し、最新の技術や手法を取り入れる必要があります。変化に柔軟に対応し、継続的な改善を心掛けることが、業務効率化を成功させる鍵となります。
1-2.生産性向上との違い
意味 | 重点にするもの | |
業務効率化 | プロセスの最適化を通じて、無駄を排除し、よりスムーズな業務遂行を実現する | 組織全体の業務プロセスを見直し、最適化する |
生産性向上 | 同じ資源でより高品質な成果を出すこと | 個々の作業者のスキルアップやツールの改善をする |
業務効率化は、単に作業時間を短縮することだけではありません。組織がより少ない資源を使い、より多くの価値を生み出すための総合的な取り組みを業務効率化と呼びます。
よく比較されるのが生産性向上という言葉ですが、生産性向上は投入した資源に対する産出量の比率を高めることを目指します。例えば、同じ時間でより多くのタスクを完了させる、あるいは同じ資源でより高品質な成果を出すことが生産性向上に該当します。一方、業務効率化は、プロセスの最適化を通じて、無駄を排除し、よりスムーズな業務遂行を実現することを目指します。
業務効率化と生産性向上は、互いに関連し合う概念ですが、アプローチが異なります。生産性向上は、個々の作業者のスキルアップやツールの改善に焦点を当てることが多いですが、業務効率化は、組織全体の業務プロセスを見直し、最適化することに重点を置きます。例えば、会議の時間を短縮する、報告書の作成プロセスを簡素化する、といった取り組みは業務効率化に該当します。
どちらも組織の成長に不可欠な要素であり、バランス良く取り組むことが重要です。業務効率化によって無駄を排除し、生産性向上によって個々の能力を高めることで、組織全体のパフォーマンスを最大化することができます。業務効率化と生産性向上の違いを理解し、それぞれの特性を活かした戦略を策定することが、競争優位性を確立するための鍵となります。
1-3.業務効率化がもたらすメリット
業務効率化は、企業にとって多岐にわたるメリットをもたらします。時間的コストの削減はもちろんのこと、従業員のモチベーション向上、利益増大、人材不足の解消など、様々なメリットがあります。
<時間的コストの削減>
直接的な効果として現れます。無駄な作業を排除し、業務プロセスを最適化することで、従業員はより短い時間でより多くのタスクをこなせるようになります。これにより、残業時間の削減、人件費の抑制につながり、企業の収益性向上に貢献します。
<従業員のモチベーション向上>
間接的ながらも非常に重要なメリットです。業務効率化によって、従業員はより創造的な仕事に集中できるようになり、達成感や自己成長を実感しやすくなります。また、無駄な作業から解放されることで、ストレスが軽減され、ワークライフバランスの改善にもつながります。その結果、従業員のエンゲージメントが高まり、離職率の低下、生産性向上に貢献します。
<利益増大>
業務効率化の最終的な目標と言えるでしょう。時間的コストの削減、従業員のモチベーション向上、生産性向上などが複合的に作用し、企業の収益性を高めます。また、業務効率化によって、新たな事業機会の創出、市場競争力の強化にもつながり、持続的な成長を可能にします。
<人材不足の解消>
自動化ツールやシステムを導入することで、定型業務を効率化し、人的リソースをより高度な業務にシフトすることができます。これにより、限られた人材を有効活用し、人材不足を解消することができます。
これらのメリットを総合的に考えると、業務効率化は、企業の持続的な成長に不可欠な要素と言えるでしょう。具体的な事例を参考にしながら、自社に合った効率化戦略を策定し、積極的に取り組むことが重要です。
2.業務効率化を進めるための6ステップ
それでは具体的にどのように進めたら良いか見ていきましょう。全部で6つのステップに分かれております。
ステップ1:現状分析と課題の特定
業務プロセス全体を可視化し、各工程におけるボトルネックや無駄を洗い出します。担当者へのヒアリングや、業務データの分析を通じて、客観的な現状把握に努めます。この段階で重要なのは、先入観を持たずに事実を正確に把握することです。
例えば、特定の部署で頻繁にミスが発生している場合、その原因を深掘りします。原因が特定できたら、次は課題の優先順位付けを行います。緊急度と重要度を考慮し、改善効果の高い課題から優先的に取り組むようにします。課題の特定には、5W1H(When, Where, Who, What, Why, How)のフレームワークを活用すると効果的です。現状分析には、業務フロー図の作成や、タイムスタディなどの手法も有効です。
ステップ2:目標設定
現状分析の結果を踏まえ、具体的な目標を設定します。目標は、SMART原則(Specific, Measurable, Achievable,Relevant, Time-bound)に基づいて設定することが重要です。
例えば、「〇〇業務の処理時間を20%削減する」といった具体的で定量的な目標を立てると良いでしょう。
目標を決めるのにあたり、関係者全員の合意を取ると一致団結で目標に向かって進めることができるのではないでしょうか。その目標に向かって誰が/いつまでに/何を/どのように行う/が分かるような明確なアクションプランが必要になります。また、目標を設定するだけでなく、その後の進捗管理をどのようにやっていくのか、事前に決めておくとよりリアルに進めることができるのではないでしょうか。
ステップ3:改善策の立案と実行
ステップ1で特定した課題と、ステップ2で設定した目標に基づき、具体的な改善策の立案とそれの実行をする必要があります。
改善策は、現状の業務プロセスをどのように変更するかを明確に示します。例えば、「ITツールを導入して業務を自動化する」、「業務手順を見直して無駄を省く」、「従業員のスキルアップを図る」などの施策が考えられます。
これらの改善策を実行する際には、計画的に進めることが重要です。小規模な範囲でテスト導入を行い、効果を検証してから本格的に導入するのもやり方として有りでしょう。改善策の実行状況は、定期的にモニタリングして必要に応じて改善策の見直しをする必要があります。ここで見直しを怠ると時代の流れに遅れてしまう可能性があります。
ステップ4:効果測定と評価
改善策の実行後、その効果を客観的に測定して評価します。
効果測定には、定量的なデータ(処理時間、コスト削減額など)と定性的なデータ(従業員の満足度、顧客からの評価など)の両方を活用します。目標達成度を評価し、改善策が期待通りの効果を発揮しているかを判断します。もし、期待通りの効果が得られていない場合は、原因を分析し、改善策を見直します。
効果測定の結果は、関係者全員に共有して今後の業務効率化の参考にします。KPI(Key PerformanceIndicator)を予め設定し、KPIに対しての数値を定期的にモニタリングすることが重要になります。
ステップ5:改善策の定着化
効果測定で効果が認められた改善策は、組織全体に定着させる必要があります。改善策を標準化し、誰でも同じように実行できるようにします。業務マニュアルを作成したり、研修を実施することで改善策の理解を深めることができます。
また、改善策の定着化には経営層が率先して改善策を実践し、従業員をサポートする必要があります。経営層がしっかりと実践しているところを見せて従業員には背中を追いかけてもらいましょう。
定着化を怠るとせっかく良いモノを導入したのに、誰も活用できない状況は宝の持ち腐れでしょう。実はこのステップが一番苦労するところかもしれません。
ステップ6:継続的な改善
業務効率化は、一度行ったら終わりではありません。常に業務プロセスを見直し、改善を続けることが必要になってきます。その時、その時代に合わせたニーズがあるのでそこにシステム等も合わせ込む必要があります。
定期的に現状分析を行い、新たな課題を発見し、従業員からの改善提案を積極的に受け入れ、検討して改善していく。このPDCAサイクルを回すことが重要になってきます。最初からうまくいくことはほとんどないので、改善しながら従業員の満足度を高めていきましょう!
3.業務効率化を実現するための手段
3章では業務効率化を実現するために、どんな手段があるのか紹介していきます。実行にあたって参考にしてもらえればと思います。
3-1.業務プロセスの見直しと標準化
現状の業務プロセスを詳細に分析し、無駄な工程や重複している作業を洗い出します。洗い出した無駄を排除し、業務プロセスを最適化します。業務プロセスを標準化することで、誰でも同じように業務を遂行できるようになり、品質の安定化や属人化の解消に繋がります。標準化された業務プロセスは、マニュアル化することで、従業員の教育や引き継ぎを容易にします。
業務プロセスの見直しには、BPM(Business ProcessManagement)ツールを活用すると効果的です。BPMツールは、業務プロセスの可視化/分析/改善を支援して業務効率化を促進します。
また、業務プロセスの見直しは、定期的に行うことが重要です。市場の変化や技術の進歩に合わせて、業務プロセスを常に最適化する必要があります。
3-2.ITツール導入による自動化
ITツールを導入することで、定型的な業務を自動化して大幅な業務効率化を実現できます。
例えば、RPA(Robotic ProcessAutomation)ツールを導入すれば、事務処理やデータ入力などの反復作業を自動化できます。AI(ArtificialIntelligence)を活用したツールを導入すれば、高度な判断や分析が必要な業務を自動化できます。
これらITツールの導入は、従業員を単純作業から解放させ、その分従業員は新しい仕事の発送や人間の知能が必要な業務に専念することができます。会社が大きくなるためには必要不可欠な取り組みでしょう。また、業務効率化だけでなく人的ミスの削減にも繋がります。ただ、やみくもにITツールを導入するのではなく、自社の業務ニーズに合ったツールを選ぶことが重要です。
ツールによっては1週間トライアル期間等がある場合があるので、導入効果を事前に検証するためにトライアルで無料で試すのも有りでしょう。
3-3.コミュニケーションと情報共有の改善
コミュニケーションと情報共有を改善することで、業務の連携をスムーズにして情報伝達の遅延や誤解を減らすことができます。
例えば、チャットツールやグループウェアを導入すれば、従業員間のコミュニケーションを活性化して情報共有を円滑にすることができます。ナレッジマネジメントシステムを導入すれば、従業員の知識やノウハウを共有して組織全体のスキルアップに繋げることができます。
チャットツールを導入することでこれまで以上に従業員間のやり取りがスムーズになり、仕事のスピードも上がります。近年はテレワークも増えてきており直接会話する機会が減ってきていますが、直接会話することでのメリットも当然ながらあります。ケースバイケースで使い分けが重要になってきます。
重要な会議や謝罪しないといけないとき、はじめて顔を合わせるとき…こんなときは対面で会話しましょう。それ以外の些細な業務連絡はチャットで十分でしょう。チャットで気軽にやり取りできることで、従業員のエンゲージメントを高めることができます。ただ、ツールが使いづらいと逆に低下することもあるので、3-2の通りツール選定は重要です。
4.業務効率化を成功させるためのポイント
4章では業務効率化を成功させるためのポイントを解説します。
4-1.従業員の巻き込みと意識改革
業務効率化を成功させるためには、従業員の理解と協力が不可欠です。理解と協力を得るために目的やメリットを従業員に丁寧に説明して説得する必要があります。ここで協力を得られないと業務効率化にはつながらないでしょう。従業員の賛同が得られ場合は、モチベーションにも繋がるので一石二鳥と言っても良いでしょう。
その他、従業員からの意見やアイデアを積極的に募集し、改善策の立案に活用することも大事です。業務効率化の取り組みに貢献した従業員を評価し、表彰することも魅力的に感じてもらうためには必要かもしれません。また、研修やワークショップなどを実施することで、業務効率化の取り組みへの理解を深めてもらうこともできます。
みんなで同じ方向を向いて進まないと企業は成長しません。いかに全社員を巻き込んで取り組むのか、重要なポイントでしょう。
4-2.継続的な改善と柔軟性
業務効率化は、一度行ったら終わりではありません。常に業務プロセスを見直し、改善を続けることが重要です。
定期的に現状分析を行い、新たな課題を発見して改善策を立案します。継続的な改善には、PDCAサイクル(Plan, Do, Check,Act)を回すことが大事になってきます。一度流れを作ればうまく回るようになるのではないでしょうか。
4-3.自社に適したツールの選定と導入
業務効率化に役立つツールは数多く存在しますが、その中でも自社の業務内容や課題に合ったツールを選ぶことが重要です。各ツールにはトライアル期間が設けられているツールが多いので、実際に使ってみて試すのが一番早いでしょう。直感で操作できるものがツールとして優秀とも言えます。このボタンなんだろう?この画面に行くにはどうやっていくんだろう?そう考える時間がムダです!その時間が発生してしまう場合は、そのツールは回避したほうが良いかもしれません。
他にも、ツールの機能や価格だけでなく、使いやすさやサポート体制も見てみると良いかもしれません。分からないことが出てきたときに質問してすぐに回答が返ってくるか?質問の受付方法等…こちらも直感的にできるツールが良いですね。
それから自分が使いこなせても従業員が使いこなせないと意味がありません。なので、従業員への十分な教育やツールを使いこなせるように研修やマニュアル作成などのサポートをしてあげることも有効な手段でしょう。
「業務効率化 進め方」まとめ
業務効率化についてまとめてきました。業務効率化に取り組むことによって単純に現場の業務が効率的に回るだけは無く、コスト削減/生産性向上/従業員満足度向上/顧客満足度向上など、様々なメリットが待っています。成功させるためには、現状分析/目標設定/改善策の立案と実行/効果測定と評価/改善策の定着化/継続的な改善といったステップを計画的に進めることが重要となってきます。そして、PDCAが上手に回せるようになったときは達成感を味わうことができるのではないでしょうか。
そんな弊社は業務効率化に関して、システム開発という側面から支援する企業の1つであり、システム開発会社です。お客様と一緒になってお客様の課題解決をシステムの提供という形で支援しています。また、様々な体制を組むことが強みでもあり、オフショア開発、ニアショア開発、オンサイト(常駐型)開発、受託開発など…お客様の状況に合わせてご提案いたします。相談は無料!なのでお気軽にお問い合わせください。