ニアショア開発とは?メリット・デメリットや企業の選び方

ニアショア

あなたは今、ニアショア開発を検討しているが、オフショア開発との違いやニアショア開発を選択することで、想定している成果が本当に出るのか気になっているところではないでしょうか。

そんなモヤモヤを、まさに、札幌にニアショア開発拠点として営業所を開設してから10年以上経ち、今まさに伸び盛りの半導体業界の企業様と信頼関係を築けている会社に所属している私がニアショア開発を検討するにあたり、メリットとデメリットを解説したうえで、ニアショア開発会社の選び方のポイントを紹介いたします。

オフショア開発とニアショア開発には違いがあり、本記事を読んでいただき、どちらを選択するか判断材料の1つになればと思います。

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1. ニアショア開発とは

そもそもニアショア開発って何?をこの1章では紹介したいと思います。

1-1. ニアショア開発とは地方企業へ外注すること

ニアショア開発とは、国内で首都圏ではなく地方企業へ外注するという意味で使われます。

 

1-2. ニアショアvs首都圏vsオフショアの違いとは

外注の選択肢イラスト

ニアショア開発において、首都圏やオフショア開発と比較してどこにメリットを感じることができるか比較してみます。

※オフショア開発とは、海外にある企業や拠点を持っている企業へ外注することです。

項目ニアショア首都圏オフショア
コスト
コミュニケーション
体制構築
外注先の選定

それぞれについて、ニアショアを主語において解説します。

(1)コスト効果はオフショア開発には劣る

開発コストを抑える手段として、ニアショア開発が手段の一つになりますが、それは「国内限定」になります。海外まで視野を広げると日本よりもコストを抑えられる国もいくつかあります。日本よりも人件費を抑えられる国がいくつかあるからです。また、ニアショア開発は活用方法次第では結果的に首都圏で依頼した時と比較してコストメリットが出ないこともあります。

(2)国内でコミュニケーションを取れる

当たり前のように聞こえますが、国内でやり取りできることのメリットは様々あります。

  • 日本語が通用する
  • 日本人の感性を分かってくれる
  • 時差を気にしなくて良い
  • 契約関係がスムーズに進む
  • 何かあった時に、その日に駆け付けられる
  • 為替を気にしなくて良い
  • 諸外国の治安を気にする必要がない

「日本人ならではの感性」は伝えやすいので、意思疎通は取りやすいでしょう。それでも担当者や会社の技術力によってクオリティが変わるので、進行管理や納品物の確認はしっかりと実施する必要があります。

<オフショアの場合>

慣れない言語でのコミュニケーションになるので、コミュニケーションの取り方に苦労する可能性があります。また、「日本人ならではの感性」が伝わりづらいので、より細かに指示をする必要があります。コミュニケーター役となるブリッジSEが日本人である会社を選択すれば、このような苦労も軽減することができるでしょう。

(3)優秀なエンジニアを確保しづらい

日本は首都圏に人口が集中しているので、その分首都圏の方が優秀なエンジニアが多くいるのが現状です。地方で優秀なエンジニアを確保するとなると、限られていて、スケジュールを確保するのが困難なケースがあります。

要件定義できるようなPMクラスは、自社(首都圏)で対応して、SEPGクラスをニアショア開発するといったような一部切り出しでお願いする体制を組む方がスピーディーに進めることができます。

<オフショアの場合>

日本よりもエンジニアが豊富にいることもあり、現地の人材を活用することで自社は労することなく、スピーディーに体制を組むことができます。

(4)外注先が見つからない

地方だと、外注先の企業が限られているのも現状です。数社に断られ、次にできる会社を探そうとしたときに、対応できる会社が無いというケースもあります。そのようなときは、その地域でのニアショア開発を進めるにあたり時間が掛かる可能性があります。

<オフショアの場合>

オフショア開発をしている企業であれば基本的に断られるケースは少ないです。仮にその企業のリソースが不足していても、新規採用ですぐに人材を補填することができるためです。

1-3. ニアショア開発をする理由とは

一番の狙いは、「開発コストを抑える」です。地方のほうが首都圏よりも賃金が安いためにそれを可能にしています。また、国内で日本人とコミュニケーションが取れるという点でも評価が高い開発手段でもあります。

具体的なメリット・デメリットは、このあと2章でご紹介します。


2. ニアショア開発のメリットとデメリットは紙一重

ニアショア開発は、メリットとデメリットは紙一重です。やり方次第でメリットにもなり、デメリットにもなります。どのような点に気を付ければメリットに繋げることができるのか、紹介します。

2-1. 人件費を抑えられるが、嵩む時もある

1-2でも紹介した通り、地方のほうが賃金は安いという理由から人件費を抑えることが期待できます。一方で、想定よりも嵩んでしまうケースもあります。

それは、優秀な人材を活用した時です。PM、PLクラスの人材は首都圏と地方では人件費の差がないケースが多いです。

人件費において、効果を期待したい場合は、SEPGクラスの人材を依頼するようにしましょう。

<参考>

同じ日本に住んでいながらも地域によって最低賃金が異なり、物価も異なります。最低賃金がある種基準ともなっており、最低賃金をベースに考えてみると、、

東京:1,113円×8h×25日=222,600

岩手:893円×8h×25日=178,600円 ※岩手が最安値

その差額は、1人当たり1ヶ月で44,000円もあります。

ただし、スキルが高い人材は少ないかもしれません…そこのバランスが大事であり、難しいところです。

同じ国内にいるのに時給が異なるのは…云々ありますが、私がコントロールできることではないのです。

都道府県別の最低賃金については、下記のURLよりご確認いただけます。

(参照:厚生労働省 地域別最低賃金の全国一覧

ちなみにSEの平均年収ベースでみると、東京が539万円、鹿児島が381万円、年間で158万円もの開きがあります。

(参照:求人ボックス 給料ナビ

2-2. 首都圏よりは人手が余っているが、体制構築が遅い時もある

地域によっては、首都圏と比較して案件が少なく人手が余っているケースがあります。一方で、なかなか体制構築が進まないという声も聞きます。

それは、優秀な人材が不足しているからです。PM、PLクラスの人材は首都圏に進出しているケースが多く、なかなかその上位層が集まらないです。体制構築をスムーズにしたい場合は、SEPGクラスの人材を依頼するようにしましょう。

2-3. 国内でやり取りできる分、訪問する時がある

1-2(2)でも紹介した通り、国内で日本人とやり取りできるのは魅力的です。一方で、国内にいるからこそ何かあった時に発注先に駆け付ける必要が出てくるケースがあります。その場合、移動時間/移動費が取られ、トータル的に見たときに首都圏の近場の企業に依頼したほうが安くなるケースもあります。

2-4. リスク分散に繋がる

震災国・日本と言われているほど震災が多い島国でもあります。1ヶ所で開発を進めていた時にその拠点で震災が発生した際、すべての進行が一時的にストップする可能性があります。ニアショアを利用して2ヶ所で開発を進めればどちらかが被害を受けてももう1ヶ所は活かせるというケースもあります。ただし、どちらかが被害を受けても開発は進められるように予め体制を組んでおく必要はあります。そうしないと被害を受けるリスクが2倍になります。

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3. ニアショア開発の会社を選ぶポイント

ここまでニアショアの概要とメリット・デメリットについて紹介してきました。3章は、実際にニアショア開発やるぞ!と決断した人向けになります。外注先を選定する上で、どのようなポイントに気を付ければ良いか紹介します。

3-1. 依頼する内容に類似する開発実績がある

会社によって得意分野が異なりますので、必ず類似実績を確認しましょう。できれば、その開発画面を見せてもらうとより信用も増します。ホームページの事業内容に書いてあるが、実態は異なるケースは意外と多いところです。

会社の規模が大きいからといってその会社が何でもできるわけではないので、気を付けましょう。

3-2. 自社開発をしている

自社開発をしている会社は自分たちで提案する力がある会社という指標にもなるでしょう。提案力がある会社の方が、発注側が考えている内容に対して、別の角度から課題を出してくれる可能性が高いです。より磨きの掛かったモノが最終的に出来上がるのではないでしょうか。

3-3. コミュニケーションが取りやすい

発注先の担当者との相性も大事になってきます。数ヶ月単位の案件もありますが、長い案件だと数年に渡る付き合いになる可能性があります。直接の担当者と事前に話をしてみて、話しやすさや専門知識などを事前に推し量っておくと、後々苦労しないで済むかもしれません。

3-4. 開発・保守体制が確立されている

以下のような体制が確立されているか、事前に確認しておくと安心できると思います。

  • 誰が責任持ってプロジェクトを請けてくれるのか
  • その下にはどのようなスキルを持った人が何人付くのか
  • 緊急時には誰にどのように連絡取れば良いのか
  • 開発はどのようなサイクルで品質を担保するのか
  • どのようにプロジェクト全体の進行管理をしてくれるのか

4. ニアショア開発の数字で見る都道府県別参考データ

ここまで、都道府県によって、最低賃金も異なり、システムエンジニア人口も異なり、システム開発ができる企業数も異なると、、紹介してきましたが、それぞれを都道府県別にまとめてみると以下の通りです。首都圏の数字が飛びぬけていることが分かります。

都道府県

システムエンジニア

人口(人)

システム開発

企業数(社)

SE平均年収(万円)

( )内は全職業での全国比

北海道

43,850

437

468 (-7%)

青森県

6,790

60

422 (-16%)

岩手県

6,470

60

419 (-17%)

宮城県

23,820

162

465 (-8%)

秋田県

3,880

48

425 (-16%)

山形県

4,890

49

427 (-15%)

福島県

8,380

82

434 (-14%)

東京都

611,840

8,061

539 (+7%)

神奈川県

297,310

1,032

525 (+4%)

茨城県

26,090

199

470 (-7%)

栃木県

10,410

77

449 (-11%)

群馬県

12,170

118

447 (-11%)

埼玉県

158,960

364

392 (-22%)

千葉県

148,610

311

449 (-11%)

新潟県

14,300

161

404 (-20%)

富山県

9,700

65

455 (-10%)

石川県

11,340

115

439 (-13%)

福井県

5,760

60

421 (-16%)

山梨県

5,400

60

449 (-11%)

長野県

15,300

177

448 (-11%)

岐阜県

13,880

123

412 (-18%)

静岡県

26,160

286

482 (-4%)

愛知県

81,840

717

489 (-3%)

三重県

8,730

73

449 (-11%)

滋賀県

8,570

89

486 (-4%)

京都府

23,950

297

497 (-1%)

大阪府

120.760

1,696

498 (-1%)

兵庫県

53,920

391

474 (-6%)

奈良県

12,480

47

424 (-16%)

和歌山県

4,300

50

420 (-17%)

鳥取県

3,070

22

456 (-10%)

島根県

3,660

42

386 (-23%)

岡山県

12,140

137

444 (-12%)

広島県

23,420

207

448 (-11%)

山口県

5.810

56

420 (-17%)

徳島県

3,360

50

449 (-11%)

香川県

6,460

63

424 (-16%)

愛媛県

6,700

89

447 (-11%)

高知県

3,180

23

444 (-12%)

福岡県

62,080

583

468 (-17%)

佐賀県

4,300

31

400 (-21%)

長崎県

5,670

57

413 (-18%)

熊本県

9,490

86

441 (-12%)

大分県

6,490

63

418 (-17%)

宮崎県

6,930

51

383 (-24%)

鹿児島県

8,010

65

381 (-24%)

沖縄県

13,790

110

438 (-13%)

(参照:統計で見る日本) 

(参照:Baseconnect) 

(参照:求人ボックス 給料ナビ

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4. まとめ

賃金が安い地域だからといって、安くなるとは限らないのが難しいところです。どこに住んでいようが技術力の高い人材には、相応の報酬が必要になります。ある程度システムエンジニアの人口がいて、技術力が高いエンジニアが多く、SEPGにおいては首都圏よりも多少なりとも安くできる地域でバランスを取ってみると北海道が最適なのではないかと、私は感じています。

今回はニアショア開発についてまとめましたが、オフショア開発についてもっと詳しく知りたい!この場合はどうなの?と少しでも気になる方は、最下部の「メールで問い合わせる」からお気軽にご相談ください。

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プログラマー、システムエンジニアを経て2001年にサイバーエイド株式会社を設立。
2008年に株式会社インタラクティブ・コミュニケーション・デザインにジョイン後は、2014年にベトナム・ホーチミンでオフショア開発拠点を立ち上げ、2017年に現地法人ICD Vietnam Limited Liability Companyを創業し現在に至る。
創業以降は東京のみならず、各国内地方拠点(札幌、名古屋、大阪)においても積極的にオフショア開発を推進し、国内のITエンジニア不足の解消を目指す。
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