
「エンジニアのリソース不足で売上の機会損失をなくしたい」そんな思いを抱える方、バングラデシュの人材を活用したオフショア開発を検討してみませんか。
バングラデシュはまだまだ成長中の国ではありますが、国をあげて「IT」に力を入れており、
今後、オフショアの人気国となる可能性が高いと考えられます。
本記事ではこれからオフショアの依頼先としてバングラデシュを検討している方向けに、選ばれる4つの理由と抑えておくべき4つのポイントについて解説いたします。
日本人との違いなども含めて、ぜひお読みいただき、ご参考にしていただければと思います。
オフショア開発の概要について知りたい方は、「オフショア開発とは?概要やメリット、成功させるポイントを紹介」の記事をご参照ください。
目次
1.バングラデシュのオフショア開発が選ばれる4つの理由
なぜ、バングラデシュがオフショア開発先として選ばれるようになったかご存知でしょうか。
ベトナムといった人気の国と比較すると、まだまだ成長していく必要がありますが、それでも選ばれている理由はコスト面や日本との関係性など様々あります。
本記事ではその理由を4つに分けて解説してまいります。
- コストダウンが期待できる
- 親日国であるため、友好的である
- 教育が充実しており、能力が高い
- ITへの国からの施策が充実している
それでは1つずつ見ていきましょう。
1-1 コストダウンが期待できる
オフショアで依頼する理由で最も多いのはコストダウンではないでしょうか。
オフショア開発の人気国と比較しながら、解説いたします。
1-1-1 費用を1/2~1/3程度に抑えることが可能
日本と比較した際に1/2~1/3程度に費用を抑えることが可能です。
また全職種平均で見てみると、バングラデシュ、フィリピン、ベトナム、ミャンマーは約60万円となり、概ね同程度の人月単価水準であると考えられ、バングラデシュでオフショア開発を進めることで、コストパフォーマンスが感じられるでしょう。
また、当社が2023年に行った現地調査では、情報工学系出身のキャリア1年目〜3年目のエンジニアは250,000円~360,000円で発注できる人材も豊富にいましたので、コストパフォーマンスで抜きん出ていると言えます。
人月単価(万円)
人月単価(万円) | プログラマー | シニアエンジニア | ブリッジSE | PM |
---|---|---|---|---|
ベトナム | 39.4 | 48.3 | 59.0 | 70.0 |
フィリピン | 43.0 | 55.5 | 73.6 | 78.2 |
インド | 53.3 | 61.7 | 69.2 | 77.5 |
バングラディッシュ | 35.0 | 42.5 | 80.0 | 75.0 |
中国 | 44.4 | 58.3 | 65.0 | 75.3 |
ミャンマー | 26.9 | 41.9 | 55.6 | 66.9 |
費用相場の詳細については、「オフショア開発の費用相場と損しないためのポイントを解説!」の記事をご参照ください。
1-1-2 給与水準
下記の表のとおり、中国が断トツで高い水準にあることがわかります。
バングラデシュは最も低い、ミャンマーに次いで低い水準となっております。
都市部などでは下記の水準以上のことも想定されますが、オフショア開発でコストメリットが出せる理由の1つとしては、物価の低さに裏打ちされた給与水準となっております。
予想平均年収・月収(単位:万円)
国名 | エンジニア年収 | エンジニア月収 |
---|---|---|
中国 | 547 | 45.6 |
ベトナム | 150 | 12.5 |
フィリピン | 143 | 11.9 |
ミャンマー | 70 | 5.8 |
インド | 208 | 17.3 |
バングラデシュ | 75 | 6.3 |
- データはすべて2023年6月24日時点のデータです
- こちらでご紹介している人件費は該当国全体のソフトウェアエンジニアの平均人件費となるため、都市部以外の人件費データも含まれます。したがって、都市部のソフトウェアエンジニアの人件費はこちらのデータよりも若干高くなる可能性があります
- ローカル企業の求人データも含まれるため、いわゆる「オフショア開発会社」のソフトウェアエンジニアの平均月収に比べて安い水準となっている可能性があります
(参照:セカイハブ「オフショア開発の費用はいくらぐらい?国別のITエンジニアの人件費や人月単価相場とあわせて解説【2023年最新版】」)
1-2 親日国であるため、友好的である
バングラデシュと日本は昔からつながりがあります。
国旗は日本国旗のデザインを取り入れるなど、親交の深さが考えられます。
なぜ、親日国なのか、歴史背景を少し紐解きながら解説します。
1-2-1 歴史的背景
1971年にバングラデシュが「ベンガル人のための国を作る」とパキスタンから独立をしました。
このときに、先進国で最も早く国家承認したのが日本でした(1972年)。このことが関係しているといわれています。
また、経済支援も多く行っており、ODAで橋や道路、農業、教育、ITなど様々な分野やインフラで支援をしてきました。
この他にも、日本のアニメが人気となっており、首都ダッカを中心にアニメ映画が上映されたり、
日本のアニメのコスプレイベントが開催されたりと文化的側面からも好まれております。
こういった背景から、親日国となっております。
1-2-2 宮崎県との交流
宮崎大学が日本語教育の一環で教員をバングラデシュの大学へ派遣しております。
宮崎市では、「宮崎−バングラデシュ・モデル」として産学官連携を実施しており、宮崎市内および日本国内のIT企業がバングラデシュ人材を採用しやすくなる環境を作っております。
2020年2月に修了した7期の修了生228名の内174名が日本での就職を決めているなど、歴史だけに限らず、親日国である理由がここにもあります。
1-3 教育が充実しており、能力が高い
バングラデッシュでは教育へしっかりと力を入れており、優秀な人材の輩出が多くなっております。
4つのポイントに分けて解説していきます。
1-3-1 大卒人材が優秀
バングラデシュでは就学前教育(日本で言う幼稚園の位置づけ)、初等教育(小学校)、中等教育(中学校、高校)、高等教育(大学)の4つに分かれています。
富裕層であれば、私立大学への進学も検討できますが、それは一部にすぎず、大半はバングラデシュに5校ある国立工科大学を目指します。
授業料が無償など魅力的な反面、入試倍率が50倍にもなることがあり激しい競争に勝つ必要があります。
この背景もあり、大学を卒業するエンジニアはもれなく「優秀」のお墨付きがつきます。
1-3-2 AIなどの最先端技術に強く、スキルが高い者が多い
生成AIの学習・実践意欲が高い若者が多く、国としてもIT教育へ力を入れており、特にAI分野などを得意としています。
この他にもWordPressやNodejs、React、Vuejs、Reactnativeといった日本で需要の高い言語、フレームワークを使えるエンジニアが多くいることも特徴の1つです。
また、フリーランスで欧米の仕事を請けることを生業としているエンジニアも多く、能力の高さが認められています。
1-3-3 英語力が高い
公用語はベンガル語ですが、基本的に英語でコミュニケーションが取れます。
バングラデシュでは小学校から英語の授業があり、公用語のベンガル語と合わせて英語も使用します。
中学校では英語のみの教科書を使う学校も多数存在します。
大学を卒業してくる人材は難なく英語でのコミュニケーションが取れる人が多いです。
そのため、日本だけでなく、英語圏内の欧米諸国からの受注も近年増加しております。
1-3-4 日本の国家資格の取得者が増加
日本のIT系唯一の国家資格である「情報処理技術者試験(ITEE)」もJICAが中心となり、バングラデシュで普及され、国内でも試験が行われており、当初は22名程度の合格数であったが、毎年記録をのばしており、2019年では100名を超える合格者が出ております。
1-4 ITへの国からの施策が充実している
バングラデシュでは国をあげてITサービスへ力を入れております。
携帯電話の保有率も2004年の500万人から1億1,600万へ大幅に増加しており、今ではスマートフォンも国民の半数が保有しております。
今後、ITの市場規模もますます拡大していくと考えられます。
そんなバングラデシュでの取り組みを解説いたします。
1-4-1 国からの手厚いサポートの恩恵
バングラデシュでは2008年に策定した「Digital Bangladesh」を基にIT企業に対して税制優遇などのサポートが手厚くなされています。
具体的には、IT分野での法人税の免除(2024年6月まで)や管区ごとの減税などがございます。
バングラデシュで事業展開している企業はこのような国策によるサポートを受けているため、コストを抑えた開発が可能となっております。
また、海外企業からの売上は基本的にVAT免除==非課税となるため、その分、販売価格が抑えられている背景もございます。
(参照:Jetro「外資に関する奨励税制優遇」)
2.バングラデシュのオフショア開発で抑えておくべき3つのポイント
続いて、バングラデシュでオフショア開発を進める際に発生し得るデメリットについて、3つに分けて解説いたします。
2-1 インフラが未発達である
インターネット接続や電力供給の安定性など、インフラの未発達が課題の1つとなっております。
特に地方では、通信障害や頻繁に停電になることもあり、プロジェクトの進行に悪影響を及ぼす可能性もございます。
下記の表はオフショアの人気国との通信速度の比較をしております。
全体を通してミャンマーに次いで低い水準であることがわかります。
国 | インターネット普及率 | Mobile速度(Mbps) | Broadband速度(Mbps) |
---|---|---|---|
ベトナム | 78.59%(3) | 49.12(4) | 107.42(3) |
フィリピン | 52.68%(5) | 28.12(5) | 92.92(4) |
インド | 46.31%(6) | 91.81(3) | 60.13(6) |
バングラデシュ | 38.92%(8) | 23.87(6) | 40.36(7) |
中国 | 75.61%(4) | 160.14(1) | 256.32(1) |
ミャンマー | 44.02%(7) | 21.29(7) | 19.68(8) |
ウクライナ | 79.22%(2) | 19.97(8) | 75.14(5) |
アメリカ | 91.75%(1) | 111.01(2) | 227.27(2) |
2-2 日本語話者が不足している
親日国ではありますが、日本語はあまり通じないと考えてください。
ここ最近、JICAが舵を取って「日本語学習者のスピーチコンテスト」を行なっています。
徐々に日本語話者が増えてきております。
一方で、この取り組みはまだ歴史は浅く、ASEAN諸国と比べると少ない状況です。
日本本社からWebMTGを通して会話をするために、発注者側の準備が問われます。
2-3 宗教的な制限
バングラデシュではイスラム教が国教となっており、国民の85%以上がイスラム教徒です。
イスラム教では金曜日が週の主要な祈り日であり、この日は早めに仕事を切り上げてしまうため、作業スケジュールの調整が必要となります。
またラマダン月では残業での対応が厳しくなります。
これらの宗教的な習慣を理解、尊重した上でスケジュールの作成が必要となります。
3.バングラデシュのオフショア開発企業5選
バングラデシュを拠点とするオフショア開発企業を一部抜粋し一覧としております。
3-1 アローサル・テクノロジー株式会社
スマホアプリ・WEBシステム開発からスタートし、
現在は生成AI、メタバース、Web3に関するプロジェクトを中心に日本、バングラデシュ、ベトナムの開発チームと企業成長を支援しています。
バングラデシュのハイスキルエンジニアチームを専任で抱え、システム開発からAIまで幅広く提供しています。
バングラデシュにある日系法人で、AI開発のパイオニアと言えると思います。
社名 | アローサル・テクノロジー株式会社 |
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設立 | 2013年9月26日 |
本社所在地 | 東京都港区北青山2-7-20 第2猪瀬ビル2F |
事業内容 |
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HP | https://www.arousal-tech.com/home |
3-2 株式会社BJIT
日本だけに限らず、世界中のグローバル企業であり、300以上のプロジェクトを成功に導くなど豊富な実績があります。
AIの活用など幅広くカバーしており、魅力的な会社の1つです。
社名 | 株式会社BJIT |
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設立 | 2004年4月1日 |
従業員数 | グループ 800名 |
本社所在地 | 東京都港区芝5丁目1番13号 MAビル三田Ⅱ 5階 |
事業内容 |
|
HP |
3-3 SUN株式会社
日本人が現地に常駐しており、コミュニケーションが取りやすいことが強みとなっており、
初めてオフショアを使うという方でも安心してご利用いただけます。
社名 | SUN株式会社 |
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設立 | 2018年8月8日 |
本社所在地 | 東京都港区西新橋1-16-4 ノアックスビル3階 |
事業内容 |
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HP | https://www.sun21.co.jp/ |
3-4 株式会社アジアピクチャーズエンタテインメント
eコマース、iosアプリなど幅広く対応が可能です。
やり取りは日本人とできるなど高品質、低コストなソリューションが提供可能です。
社名 | 株式会社アジアピクチャーズエンタテインメント |
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設立 | 2013年11月 |
本社所在地 | 東京都港区芝浦2-14-13 加瀬ビル161 4F |
事業内容 |
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HP | https://offpro.jp/ |
3-5 株式会社RAISE WORLD
バングラデシュのコストメリットなどを活かしながら、開発の支援が可能です。
社名 | 株式会社RAISE WORLD |
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設立 | 2019年7月26日 |
本社所在地 | 東京都港区赤坂一丁目5-2 |
事業内容 |
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HP | https://www.raise-world.co.jp/ |
「バングラデシュ オフショア開発」まとめ
本記事では、バングラデシュのオフショア開発について解説しました。
バングラデシュは人口が多いことからも今後のオフショア開発先としての拡大の余地は十分にあるとも言えます。一方でまだまだベトナムのように環境が整っていないこともあり、追いつくのはもう少し先になりそうです。
弊社は会社を立ち上げたから25年が経ちます。さらにオフショア開発先としてベトナムに拠点を作ってから約10年が経とうとしています。長年の経験からシステム開発・オフショア開発について様々アドバイスできると思います。システム開発で行き詰った時には、どんな些細なことでも、お気軽にお問い合わせいただければと存じます。相談は無料です!