「エンジニアが不足している」とそう感じている方は多いのではないでしょうか。
単純に人がいない、そういった背景もありますが、その他にも理由はいくつかあります。
本記事では、「エンジニアが不足している」と感じる理由と解決方法の解説をさせていただきます。
お読みいただき、解決施策立案の参考としていただければと思います。
1.エンジニアが不足している3つの背景
エンジニアが不足している理由は下記の3点が考えられます。
- IT需要の高まりで不足している
- 日本の人口減少により影響を受けている
- 技術の高度化により不足している
日本は人口が減少フェーズに入っており、併せて労働人口の減少や出生率の低下など、多数の課題があります。
そのため、人口が減少していることにより、エンジニアが不足している==人がいないと考えられますが、
背景としてはそれだけではありません。
開発技術の高度化も大きな理由となっており、AIの台頭など目まぐるしく進化する情報産業に対応できるエンジニアが不足していることも考えられます。
それでは1つずつ解説していきます。
1-1 IT需要の高まりで不足している
ITの需要は年々高まっており、今後も縮小することなく拡大していくと想定しております。
まだ日本の企業でのIT化への流れは続くことが見込まれ、新たなAI技術の台頭など、ますます需要が高まると考えております。
このことにより、都市部ではエンジニアの取り合いによるエンジニア不足が今後も恒常的に発生する見込みです。
また、2030年に最大で約79万人ものIT人材が不足するとも予測されています。
この調査ではIT人材の需要と供給についての差をまとめており、需要の伸びが最も高い高位シナリオなどシナリオ別に予測を算出しております。
低位シナリオですら約16万人の不足が予測されており、需要に対し供給が追い付かなくなってきております。
引用:みずほ情報総研株式会社 「IT人材需給に関する調査」
また、需要の高まりにより経験者の採用も難しくなっています。
求人倍率の上昇に伴い、各社間での取り合いになっている状況でかなりの苦戦を強いられることになります。近年は横ばいですが、約12倍と高水準になっています。
引用:レバテック「IT人材白書2024」 https://levtech.jp/contact/documents/research-2024/?sip=a14139_284
1-2 日本の人口減少により影響を受けている
少子化の加速により、日本の生産年齢人口が減少していることも背景として存在します。
※生産年齢人口・・・15~64歳までの人口
日本の総人口は現在1億2,397万人となっております。
2004年12月にピークである1億2,784万人に到達して以降、右肩下がりに減少しております。
2055年には1億人を割り込み、2065年には9,000万人を下回る予測がなされています。
高齢化の推移と将来推計
生産年齢人口では、1995年の8716万人を境に2021年では7450万人、2050年では5275万人になると予測されています。
これらの影響により、エンジニアが増加しにくい環境にどんどん変わっていくことが考えられます。
引用:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r04/html/nd121110.html
1-3 技術の高度化により不足している
AIやIotなど様々な技術が発達し便利になっていく反面、必要とされるスキルレベルもより高度なものが求められる傾向に進みそれに対応できる先端IT人材が不足しています。
今後、先端技術(AI、Iotなど)などの第4次産業革命によりさらなる需要の増加が見込まれております。
どれほどの需要が見込まれるか、下記の2つに分けて確認していきましょう。
- 先端IT人材(AI やビッグデータ、IoT 等、第4次産業革命に対応)
- 従来型IT人材(第4次産業革命を除く従来から存在する技術)
2030 年時点の先端 IT 人材・従来型 IT 人材の需給ギャップ(生産性上昇率 0.7%)
IT 需要の伸び | IT 人材需給ギャップ | ||
---|---|---|---|
Re スキル率(1.0%固定) | 従来型 IT 人材 | 先端 IT 人材 | |
IT 需要の伸び「低位」 | 1% | △22.0 万人 | 38.4 万人 |
IT 需要の伸び「中位」 | 2~5% | △9.7 万人 | 54.5 万人 |
無印:需要数>供給数、△:供給数>需要数
IT需要の伸び「低位」のケースでは、先端IT人材は需要が供給を38.4万人上回る一方で、
従来型IT人材は供給が需要を22.0万人上回る結果となった。
この結果、単純に合算すると、需要が供給を16.4万人上回る結果となった。
参照: ・https://www5.cao.go.jp/keizai3/2016/0117nk/n16_2_1.html
・https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/houkokusyo.pdf
2.エンジニア不足への解決策
次にエンジニア不足の解決に向かうために解決方法について解説していきます。
下記の3つポイントに分けて説明していきます。
- 海外人材の活用
- 未経験者または経験が浅いエンジニアへの教育を強化
- ツールの活用
それでは1つずつ見ていきましょう。
2-1 海外人材の活用
海外人材の活用は特におすすめします。
解決への即効性だけでなく、コストダウンなどのメリットもあることから、
積極的な活用をしてみましょう。
2-1-1 オフショア開発会社に依頼する
オフショア開発会社は海外に自社拠点を置き、現地のエンジニアなどで体制を構築し開発を進めています。特にオフショア拠点として人気のある、ベトナムやインドなどの東南アジア諸国はエンジニア教育に国が力を入れて取り組むなど、優秀なエンジニアが増加しております。
また、日本と比較しても現地との給与差はあり、その分、開発コストをダウンさせることも可能な為、安価で質の高い開発支援を受けることができます。
また、当社のように日本人を現地に常駐させ、日本語でのやり取りができるよう配慮がなされている会社も多く、安心して依頼ができます。
オフショア開発で依頼するために下記の記事もございますので、併せてご覧ください。
2-1-2 海外人材を採用し、日本で開発をしてもらう
海外在住、または日本在住の人材を採用しエンジニア不足を補いましょう。
日本の企業で働きたいという海外人材が多く、2024年10月末時点での情報通信業に就労している労働者数は約8万5000人となっております。(全産業の合計は約204万8000人)
2-1-3 海外に自社の開発拠点を作る
海外に拠点を作ることは何かとハードルがあり、手間に感じられるかもしれませんが、
拠点があることでエンジニア不足という状況は今後発生しにくくなると考えられます。
コストダウン、そして豊富なエンジニア数を確保できるなど課題解決に効果が期待できます。
特にオフショア開発拠点国として人気の高い、ベトナムやフィリピンなど、
実績がある国を拠点とすることをおすすめします。
既に日本とのやり取りがあることで抵抗感もなく、
人材もより集めやすい環境であるなど、初めてでも失敗の可能性が低くなります。
2-2 未経験者または経験が浅いエンジニアへの教育を強化
教育を強化し、先端IT人材を育成していくことで人材不足の解消に一定の効果が発揮できると考えています。
2-2-1 未経験者の採用を進める
エンジニアの採用は前述している通り、倍率が12倍と採用する側としてはハードルが高くなっております。特に経験者の中途採用は難関となっており、大手の会社含めて競合が多数になる可能性もあります。そのため、未経験者の採用に目を向ける必要があります。
教育の手間はかかりますが、長期的にみてエンジニア不足の解消に繋げることができると考えております。
2-2-2 教育を外注して充実させる
外部の専門的な知識を持っている業者に講師として教育を依頼する方法もおすすめできます。
自社で教育するにも、状況によっては限度があり、十分な教育にならない可能性もあります。
費用はかかるものの、プロに依頼することで、効果的に社員の成長へとつながります。
2-2-3 ロースキルの中途採用
中途採用での市場は経験者の取り合いになっているケースが多いです。
そのため、競合を避けて確実に確保するために、
若手のロースキルなエンジニアを採用することをおすすめします。
前述した内容と被りますが、採用したエンジニアを自社で教育を行い、スキルの向上に努めさせることで、高いスキルを持つ経験者の中途採用ができなくとも、エンジニア不足を解消できる可能性があります。
2-3 ツールの活用
エンジニア不足に対してはツールの活用も有効的な方法として解説していきます。
特に、AIに関連するツールやローコードツールを用いることで、エンジニアとしての経験が少ないことも
カバーできる可能性が高く、注目すべきだと考えます。
2-3-1 AIツールを用いて効率化を図る
AppSheetやChatGPT(Code Interpreter)など、指示を出すとAIが自動でプログラミングまで実行してくれるといった優れたツールが複数存在します。
エンジニアがいなくとも、業務アプリが作れてしまうなど、人材不足にはうってつけの解決方法ではないでしょうか。
とはいえ、まだ発展段階ではあるため、高度な開発には対応が難しい可能性がありますが、
いずれはエンジニアに成り代わっている可能性を大いに秘めています。
2-3-2 ローコードツールを活用する
キントーンやMicrosoft PowerAppsなど様々な商品がリリースされており、
最小限のコーディングで開発ができるツールです。
前項のAIと比較すると、自社で必要な形にカスタマイズする必要がありますが、
その分、完成したら利便性が高いものとなるでしょう。
多少の知識は必要としますが、一から言語を学ぶことと比較しても、覚えることの量は少なく、
すぐに開発ができる優れたツールです。
3.エンジニア不足のまとめ
エンジニアの不足と解決策について解説をしてきましたが、
自社の状況と合わせて、参考になりましたでしょうか。
よくエンジニアが不足していると聞きますが、
社内でできる解決方法は意外と多く、いち早く取り入れてみましょう。
そして、お読みいただいた皆様の一助になれば幸いです。