あなたは今、日本人エンジニアの採用がなかなかうまくいかずに、外国人エンジニアの採用まで視野に持っているところで、一歩踏み出せないでいるところではないでしょうか?
そんなお悩みをベトナムにオフショア開発拠点として設立して10年が経つ会社に所属している私が弊社の経験を交えて紹介します。
自社の現況と照らし合わせて、外国人エンジニアの採用に踏み切っても良いか、この記事を検討材料の1つとしてなれば幸いです。
目次
1. 外国人エンジニアを採用する目的
そもそも外国人エンジニアを採用する目的は何でしょうか?企業によって、外国人エンジニアを採用する目的は様々あるかと思いますが、主には以下のケースが多いようです。
- エンジニア不足を解消する
- スキル不足を解消する
- 海外の最先端技術を取り入れる
- 外国語が必要な案件の対応をする
- 企業をグローバル化する
- 企業の士気を高める
- 労働環境改善のきっかけになる
- インバウンド需要の向上に繋げる
いずれかに当てはまれば外国人エンジニアの採用は検討しても良いかもしれません。
2. 外国人エンジニアの市場
続いて、外国人エンジニアの市場を知っておきましょう。市場価値がないと、取り組む意味も薄れてしまいます。
2-1. 国内の外国人エンジニアは増えている
外国人エンジニアの採用市場の動向をデータから見てみましょう。
まず、技術的分野の在留資格件数をみると、右肩上がりでどんどん上がっていることが分かります。
技術的分野の中にはエンジニアも含まれているので、国内にいる外国人エンジニアは年々増えていると推測できます。
(参照:xseeds Hub)
2-2. 外国人エンジニアの雇用数は増えている
続いて、外国人の雇用数の推移を見てみます。
コロナ禍もあり、一時横ばいになりましたが右肩上がりで上昇していることが分かります。コロナ禍でも下がっていないことに驚きです。
このグラフからも分かる通り、外国人採用は各企業検討しないといけないフェーズに入ってきているかもしれません。
3. 外国人エンジニアの採用の進め方
昨今の流れとしても外国人の採用を検討しないといけないフェーズに入ってきました。
自社で外国人を採用したことがない会社にとってはそもそも進め方が不明な人も多いでしょう。そこで、2章では進め方を紹介します。
※今回はエンジニア前提での記事になりますので、職種として、就労ビザは発行できます。
3-1. 採用したい人物像を想定する
どのような人物を採用したいか、何故その人材が必要なのか洗い出しましょう。少なくとも以下の要素は必要になると思います。
- 年齢
- 性別
- 国籍
- 日本語レベル
- 必要なスキル
- 給料
- 勤務時間/日数
3-2. 求人掲載する
必要な人物像と条件が整ったらそれをもとに求人掲載しましょう。求人掲載も様々な方法があります。
媒体 | 特徴 |
会社HP | 自社のことを知っている人でないと訪れることがないので、効果は薄いです。ただ、費用は抑えることができるので、他媒体との合わせ技で活用するのが良いでしょう。HPでより魅力を伝えて、他媒体でHPへ促すと。 |
SNS | ターゲットを絞って安く広告を出すことができるので、魅力的です。外国人が良く使うツールに出すようにしましょう。例えば、XやLINEは日本が爆発的に流行っているだけで、他国は別のアプリが流行っていたりします。 |
ハローワーク | 無料で求人を出せるので活用しましょう。Indeed等との連携もできるので、活用して損はないでしょう。ハローワークは日本人だけでなく、外国人雇用にも力を入れています。 |
海外向けフリーペーパー | 様々な国のフリーペーパーが存在します。その国の人であれば1度は手にするのではないでしょうか?国を絞って求人を出す際は活用できそうです。ただ、媒体の特性上、手に取る人は日本語が不慣れな人が多い印象はあります。 |
求人サイト | 外国人専用の求人サイトがいくつか存在します。コストは掛かりますが、他媒体と比較して、優秀な人が多いイメージがあります。コストに余裕がある場合は、求人サイトの掲載はおススメです。サイト選定をする際はそのサイトの特徴を調査して、マッチするところを選びましょう。 |
人材紹介会社 | 丸っとプロに任せることができるので、安心できます。コストは他媒体よりも掛かります。多額のコストを掛けても採用できないケースがあるので、必ず採用できるというわけではないことは念頭に置いておきましょう。 |
3-3. 書類選考する
就労ビザを取得するためには、「学歴」もしくは「職歴」において、一定条件をクリアしている必要があります。書類選考の時点でしっかりと、確認しておきましょう。
「学歴」:海外の短期大学卒以上で日本の短期大学相当以上の学位を取得している or 日本の専門学校卒以上の学歴で専門士以上の学位を取得している
※「学歴」において、いずれも当てはまらない人は「職歴」で条件をクリアしていれば問題ないです。(「学歴」でクリアしていれば、「職歴」の条件は不要)
「職歴」:「技術・人文知識」に該当する場合は10年、「国際業務」に該当する場合は3年の職歴が必要です。※大学や高等学校で関連する科目を専攻していれば、その期間も加算することができます。
3-4. 面接する
就労ビザを取得するためには、「学歴」「職歴」と今回の求人内容の関連性が重要となってきます。内容がアンマッチである場合は、就労ビザを取得できないので気を付けましょう。
例えば、化学系の学校専攻の人がエンジニアになりたくて、応募してきても就労ビザが取得できない可能性が高いです。
その他、面接の中で以下の項目は確認しておきましょう。
- 学校の専攻や実務経験の年数(証明書を見せてもらう)
- 在留カードの確認(データだけでなく、現物も)
- アルバイトの経験(1週間28時間以上労働していないか)
- 日本語でのコミュニケーション
3-5. 内定を出す
内定書や雇用契約書を交わしましょう。
日本語と採用者の母国語と2種類あると、齟齬もなく契約を結ぶことができると思います。
就労ビザの申請のために、入社前に雇用契約書を交わす必要があります。
3-6. 就労ビザの申請する
基本的に本人が居住地の地方出入国在留管理局で申請する必要があります。
申請してから1~2ヶ月程度掛かるので、そのバッファーも考慮した採用スケジュールを組むようにしましょう。申請方法は以下のサイトをご参考ください。
(参照:出入国在留管理庁)
3-7. 入社する
就労ビザ取得後に入社日を決定して、入社します。
3-8. 入社後の手続きをする
<会社がやること>
入社後にハローワークへ「外国人雇用状況報告」を届出ることが義務付けられています。すべての会社に義務付けられているので、必ず届出をしましょう。
<本人がやること>
- 雇用会社に変更が生じた場合は、出入国在留管理庁へ変更届出を提出する必要があります。
- 所属機関に関する届出を提出する。この届出を怠ると20万円以下の罰金に処せられる可能性があります。本人が知らないことが多いので、会社からフォローしてあげましょう。
(参照:出入国在留管理庁)
4. 外国人エンジニアの採用の秘訣
先行して外国人エンジニアを採用して、成功している企業はいくつかあります。どのような工夫をすれば成功に繋がるか、4章では紹介します。
4-1. 人材紹介サービスを利用する
初めて外国人を採用する際は日本人とは異なり様々な知識(ビザ申請等)が必要になります。運が悪いと不法入国者に当たるかもしれません。自社ですべてをやるとなると、思わぬ落とし穴があるかもしれません。
そのような事態を避けるためにも、最初は人材紹介サービスを利用するがベストと考えられます。そこでノウハウを蓄積して1年後からは自社で対応する等、順を踏むと良いでしょう。
4-2. 日本語・日本文化を学べる場を提供する
わざわざ日本に在住している人は少なくとも日本で働きたい or 日本文化が好き 等の理由があるはずです。
そんな外国人の満足度向上のためにも日本語や日本文化を学べるような福利厚生があると惹かれるかもしれません。
5. 外国人エンジニアを雇用してから気を付けること
5章では外国人エンジニアを雇用してから気を付けたいポイントを紹介します。
無事に採用できた!と油断は禁物です。採用できてからも気を付けるべきことがあります。
5-1. 脱退一時金制度により5年で退職
雇用されてから5年経過すると、脱退一時金の制度によって、一度退職してしまう外国人がほとんどです。(継続するパターンが珍しいほど)
一度退職してからでも出戻ることはできるので、優秀な人材であれば事前に戻ってくるように囲みこむと良いかもしれません。
(参照:脱退一時金の制度)
5-2. 日本語が流暢でないとコミュニケーションが取りづらい
ディスコミュニケーションにより、仕事がうまく進まないケースがあります。
面接の時点でしっかりと意思疎通ができるか確認するようにしましょう。面接で良くある質問よりは、世間話をするとより日本語能力を確認できるでしょう。
また、仕事を依頼する時も日本人ならではの感覚で「よしなによろしく」は避けて、日本人に対して説明する以上に事細かに説明するように心がけましょう。
英語文化の会社であれば、日常的なやり取りから英語にすれば解消されるかもしれません。
5-3. 労働環境の改善が難しい
残業という働き方は日本の特徴の1つでもあります。他国では残業をしない文化がほとんどです。国によっては、残業時間が一定を超えると企業にペナルティが与えられるほどです。
そのため、残業は発生しないような環境を作る必要があります。また、既存社員の日本人と働き方に差が出ると日本人が不満を持つ可能性があります。偏らないように気を付ける必要があります。
6. 自社採用を諦めて外注も視野へ
これまでの説明を見てみて、外国人を雇用するのは難しいなと感じた方は思い切って外注を検討してみてはいかがでしょうか。
外国人エンジニアを活用したシステム開発を外注することができます。
6-1. 外注することのメリット
自社採用を諦めて外注することのメリットは様々あります。
主には以下の部分でメリットを感じることができると思います。
- 社外の専門的な知識を活用できる
- コストを削減できる
- 時間を節約し、自社リソースを別案件に集中できる
- 人手不足で断念した仕事を受ける余裕ができ
自社採用だと、採用できたあとの就労ビザの手続きが手間だったり、5年間経ったら一度退職してしまったり、何かと大変なことが多いです。
外注することによって少し身軽になった採用担当者は、新卒教育や新卒採用に重きを置くことができるようになります。
新卒から自社を選んでくれた社員は宝です。会社・本人の将来のためにも大事に育てる方に力を入れてみてはいかがでしょうか。
6-2. 外注手段としてのオフショア開発とは
オフショア開発とは、海外の開発拠点を活用することです。WEBシステム開発、アプリ開発、インフラ構築などを保守・運用も含めて依頼することができます。
まさに外国人を活用したシステム開発を取り組むことができます。
詳しい内容は「オフショア開発とは?オフショア開発の魅力を解説」の記事をご参照ください。
7.まとめ
記事を通して、外国人エンジニアの採用について紹介してきました。日本人よりは人材が市場にいるものの、手続きが手間であったり、採用活動の費用も高くなります。複雑だし、いろいろ手間だなと感じた方は、思い切って外国人材を活用したシステム開発(オフショア開発)を外注することを検討しても良いかもしれません。
ここに書かれていないけど、これってどうなの?と些細なことでも聞きたいことがありましたら、いつでもご連絡お待ちしております。ぜひお気軽にお問い合わせください。