日本国内のほぼ全ての企業で人手不足が深刻化している理由

人手不足は様々な業界、ひいては日本国としての課題ではないでしょうか。

人手が不足することで、産業が停滞してしまうなど、マイナスな要素でしかありません。

本記事では、そんな人手不足に対しての現状と解消する方法について解説していきます。

IT企業として20年以上の業務実績を持ち、情報サービスの分野で多数の企業へ支援をした弊社のノウハウを活用し執筆しております。

自社の状況にあった解決方法を選ぶことが最も重要だと思いますので、

お読みいただき、対策の参考していただければ幸いです。

 

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1.人手不足の現状

まずは日本における人手不足の状況について解説をしていきます。

業界、地域、企業規模別にみていきましょう。

1-1 人手不足が著しい業界

人手不足と感じている企業は多く、下記の調査によると、特に情報サービスを提供している企業で多く感じられております。

※株式会社帝国データバンクによる動向調査が行われ、業種別の企業へアンケートを実施し、人手不足と感じている企業の割合がまとめられております。  

業種別、正社員の人手不足割合

引用:株式会社帝国データバンク 人手不足に対する企業の動向調査(2024 年 1 月)

情報サービスに限らず、建設や医療など様々な業界から人手不足であるとの声が上がっております。

この中から、抜粋し下記の業種についてもう少し深堀して解説していきます。

  • 情報サービス
  • 建設
  • 医療、福祉
  • 運輸

ニュース報道で聞いたことがある運輸業をはじめ、医療や建設業といった業界へも人手不足の波が広がっています。

実際にどれ程なのか1つずつみていきましょう。

1-1-1 情報サービス

情報サービス業では、各社のDX化の推進やAIなど最新技術の台頭により、IT需要が大幅に高まっております。

しかしながらエンジニアの供給が追いついておらず、慢性的な人手不足に陥っています。

また、2030年に最大で約79万人ものIT人材が不足するとも予測されています。

この調査ではIT人材の需要と供給についての差をまとめており、需要の伸びが最も高い高位シナリオなどシナリオ別に予測を算出しております。

低位シナリオですら約16万人の不足が予測されており、需要に対し供給が追い付かなくなってきていると読み解けます。

 

2023問題でエンジニアは不足する

参照:「IT人材需給に関する調査」みずほ情報総研株式会社

1-1-2 建設

建設業では人手不足が大きな問題としてあがっています。

原因としてはそもそもの労働人口の減少、そして建設ラッシュ時に建設された建物の建て替えなど需要の拡大などがあります。

そして、55歳以上が約36%、29歳以下が約12%と高齢化が進行しており、「休みが少ない」、「きつそう」などマイナスイメージにより若手が増加していない背景もあります。

また、2025年には最大で約90万人の労働人口が不足するといわれており、人手不足の解決は急務と言えます。

参照:最近の建設業を巡る状況について【報告】 https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001428484.pdf

1-1-3 医療、福祉

医療、福祉業界においても例外なく人手不足となっております。

その背景としては、そもそもの労働人口の減少と高齢化に伴い需要の増加などがあります。

「人生100年時代」といわれ、日本の平均寿命も右肩上がり伸びてはいるが、医療、福祉の人手が足らないことには持続していくのが困難になる可能性もあります。

 

また2025年には超高齢化社会へ突入する見込みであり、51人が後期高齢者(75歳以上)となります。

特に介護における人手は約38万人不足すると予測されております。

1-1-4 運輸

各種報道などでもフォーカスされているように、運輸業界でも人手不足が深刻化しつつあります。

1995年を境に右肩下がりに推移している状況です。

また、高齢化も顕著であり、若手が増加しない現状もあります。

 

背景には長時間労働の割に給料が見合っていないなどのネガティブな理由で就職希望者が伸び悩んでいる事が考えられます。

また、は2024年に法改正が行われ「時間外労働時間の規制」など働き方改革が行われています。

これによりさらに人手不足が深刻していくのではないでしょうか。

1-2 地域別の人手不足状況

地域別に人手不足の状況をみていくと、令和元年を筆頭に全国平均でも1.5倍と人を求める企業が多い状況にあります。

令和2年以降はコロナが流行し始めたこともあり、倍率は落ちてきていますが、それでも全国平均は1倍を下回らない状況です。

それぞれ見ていくと、首都である東京をはじめ、福井や岐阜といった地方においても高い数値で推移しております。

下記は一般職業紹介状況より都道府県別に見た有効求人倍率の推移について5年分のデータから平均をまとめております。

都道府県別に見た、有効求人倍率の推移

参照:一般職業紹介状況 「https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/114-1.html」

1-3 会社の規模別人手不足状況

会社の規模別の人手不足の状況を確認していきますと、300人未満の会社が平均しても、最も高い倍率になっております。

法人の約99%300人未満となります。

 

5000人を超える規模になると、求人倍率は1倍を下回りますが、その他は1倍を大よそ超えており、特に300人未満では人手不足が深刻であると考えられます。

※有効求人倍率は1倍を上回る場合は求職者に対しての求人が多いことを示しています。  

 

※法人総数 約178万社

従業員数(人)

法人数

299

1,761,771

300~999

11,478

1000~4999

3,493

5000~

549

 

※下記の推移は第41回 ワークス大卒求人倍率調査(2025年卒)へ掲載されているデータを基に作成をしております。

従業員規模別 大卒求人倍率の推移

参照:第41回 ワークス大卒求人倍率調査(2025年卒)

https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/assets/20240425_work_01.pdf

【令和3年版】国内に法人企業は何社あるでしょう?

https://www.net-bizs.jp/dataguide/19007/

 我が国の事業所・企業の経済活動の状況

https://www.stat.go.jp/info/today/pdf/195.pdf


2.人手不足の背景

サービスの多様化など、便利な世の中になっていく反面、それらを支える労働者を求める声が多くなっています。

下記は企業に対して人手不足の状況を調査した結果となっています。

結果から分かるように人手不足と感じている企業が52.6%と過去と比較しても高い水準であることがわかります。

 

正社員・非正社員の人手不足割合 月次推移

引用:株式会社帝国データバンク 人手不足に対する企業の動向調査(2024 年 1 月)

 

この状況を踏まえて人手不足の背景としては下記の2点が問題点として考えられます。

 

  • 生産年齢人口の減少
  • 企業と就職希望者の間でのミスマッチ

 

それでは1つずつ確認をしていきましょう。

 

2-1 生産年齢人口の減少

少子化の加速により、日本の生産年齢人口が減少していることも背景として存在します。

日本の総人口は12,397万人となっております。

200412月にピークである12,784万人に到達して以降、右肩下がりに減少しております。

2055年には1億人を割り込み、2065年には9,000万人を下回る予測がなされています。

高齢化の推移と将来推計

2-2 企業と就職希望者の間でのミスマッチ

有効求人倍率をみてみると下記に記載の通り、人気の職種とそうでない職種間の差があることが分かります。

就職希望者が集まらない職種において人手不足が顕著になっているのではと予測ができます。

そのため、求人を募る企業と就職希望者の間でミスマッチがおきている状況となっています。

この状況を打破するために、各企業におかれては労働条件の見直しを行うなどの対策を行っていますが、今後ますますの人手不足が見込まれており、厳しい状況が続く見通しになっています。

 

令和63月時点の職業別(一部抜粋)有効求人倍率

職業

有効求人倍率

建設・採掘従事者

5.06

サービス職業従事者

2.96

販売従事者

2.10

生産工程従事者

1.62

運搬・清掃・包装等従事者

0.76

事務従事者

0.48

参照:一般職業紹介状況(令和6年3月分及び令和5年度分)について

また、2030年には労働需要が7,073万人に上り、労働供給は6,429万人と推計されており、供給が需要を大幅に上回る結果となっております。

より深刻な人手不足に突入していく可能性があります。  

引用:パーソル総合研究所・中央大学「労働市場の未来推計2030」

 

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3.人手不足による企業への影響

人手不足の状況により企業へ与える影響について解説をしていきます。

人手あっての会社経営であるため、会社の存続にもつながりそうな影響も考えられます。

3-1 売上の減少

製品を作るのも人、販売するのも人とどの工程においても人手は必要不可欠です。

その人手がいないことには売上の増加を見込めないどころか、大幅な減少も考えられ、最悪の場合、倒産に追い込まれる可能性もあります。

3-2 職場環境の悪化

人手不足により、既存メンバーへのしわ寄せが発生し、職場の環境が悪化してしまいます。

例えば、時間外勤務の増加や休暇取得数の減少、せっかく入社した新人育成に手が回らなくなるなど、

最悪の場合は悪評が広がり、さらに人材確保を阻害してしまうという状況にも陥りかねません。

また、既存メンバーの離職も増加してしまう可能性もあります。


4.人手不足の解消方法4

人手不足を効率よく解消するために4つの方法をご紹介いたします。

自社の状況にあった方法を一度検討してみてはいかがでしょうか。

4-1 外注業者の活用

自社に不足している人材を外注業者に依頼してみましょう。

高い採用費用をかけているがなかなか集まらないといった課題は各社お持ちだと思いますが、その費用を外注に回すことで、人手不足の解消につながると考えております。

 

また、外注業者は高い専門性を有しており、業務の品質の向上が望めるなどプラスの要素もあります。

まずは、自社の人手不足の箇所を洗い出し、外注業者に相談してみましょう。

アウトソーシングとは?意味やメリット・デメリットをわかりやすく解説

 

 

情報通信の人手不足の相談は

株式会社インタラクティブ・コミュニケーション・デザイン(ICD)まで!

弊社では国内・外で情報通信に関する人材(エンジニア)が多数在籍しており、開発の側面からご支援させていただきます。

4-2 職場環境を改善する

職場環境を改善することで、企業としての魅力を高め、少ない求職者を確保できる材料にできるのではないでしょうか。

例えば、女性やシニア層に目を向け、時短勤務の整備やテレワーク制度の導入、リターン採用などの検討をしてみましょう。

また、求職者にアピールできるだけでなく、既存メンバーへもプラスの要素を生み出すことができ、離職防止などにつなげることができます。

現在の自社のワークスタイルなど今一度見直ししてみましょう。

4-3 外国人材の採用

外国人の採用に目を向けてみるのも良い解消方法だと考えます。

もちろん、言葉の壁といったハードルも場合によってはあるかもしれませんが、日本語を話せる外国人も多く、日本の大学に通う外国人を採用することで、人手不足の解消につなげることができるのではないでしょうか。

外国人を扱う就職エージェントもおり、日本人以上の能力を有している外国人を採用できる可能性も高いと考えています。

4-4 業務の効率化を図る

自社内において、非効率な業務が無いか今一度確認してみましょう。

例えば、紙媒体のデータを手でPC入力している業務などは行っていないでしょうか?

そのような業務は全てシステムで自動化できます。

 

様々なサービス(製品)が販売されており、自社の課題に合ったサービス(製品)を導入するもよし、自社専用のものを1から作るのもよし、費用と相談しながら検討してみましょう。

業務効率を図る、すなわちDX化の推進をして人手不足の解消につなげていきましょう。

 

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5.自社の人手不足チェック

自社の人手不足状況をチェックしていきましょう。

これから解説する全ての項目に当てはまる場合は早急な対応が必要です。

前項の解消方法を参考に、対応していきましょう。

5-1 2人以上の社員から「人がいない」と言われる

社員から「人がいない」と言われていませんか?

現場レベルの方から言われることは正しく状況を反映していることも多く、管理者側では意外と見えていないことも、現場ではよく見えていることもあります。

もちろん、業務内容の確認など、本当に足りないのか管理者側で判断する必要がありますが、「人がいない」という声が上がるには何かしらの課題は発生しています。

 

5-2 残業時間が増加している

既存メンバーの残業時間が増加している場合は人手不足になっている可能性があります。

普段の業務において繁忙期に時間外が増加することはあると思いますが、それ以外の時期で時間外が継続的に増加している場合は要確認となります。

直近で退職があった部署など、特に注意深く確認しましょう。

 

5-3 退職者が増加している

退職者が増加していることも人手不足に直結する問題です。

前月対比、前年対比と比較し増加している場合は特に注意が必要です。

また、採用数を退職者数が上回っている場合も要注意です。

企業にとって、社員が減少することはマイナスな事であり、前述していた売上の減少にもつながります。

採用が順調に進んでいるのであれば、すぐに大きな問題になる可能性は低いですが、職場環境など改善すべき点は存在します。

特に退職理由は改善策を考えるための重要なものとなりますので、必ず参考にし、対策をしていきましょう。

 

5-4 社内雰囲気が以前と比べて悪い

なぜか以前と比べてピリピリしている、口調が攻撃的である、そんな社内雰囲気になっていませんか?

少しでもおかしいな、違うなと感じたら人手不足が影響している可能性があります。

人手不足による業務量の増加がストレスに変化し、このような雰囲気を作ってしまっていることもあり、早急な対応が必要となります。

ただ、人手不足が全ての原因とは限らないため、他の項目も含めて確認しましょう。 

 

5-5 社員の意欲が低下している

各社、OJT面談など社員個人と会話する機会は定期的にあるかと思いますが、その中で仕事に対してのモチベーションが下がっている場合は人手不足の兆候があります。

人手不足により業務負担が増加している場合は、「なぜここまでやらないといけないのか?」などマイナスな感情が発生し、社員の意欲低下につながっている可能性があります。

また、意欲低下により退職されてしまうリスクもあるため、より注意していく必要があります。


6.人手不足のまとめ

人手不足について、状況や原因、解消方法などについて解説してまいりました。

各社のニュース報道などで周知されておりますが、日本の人手不足の状況はより深刻になっていくと予想されています。

 

解決に向けた動きは国をはじめとして様々取り組んでおりますが、それだけでなく自社に合わせた解決方法を実施することで、より効果が出るのではないかと思います。

まずは自社内の状況確認から進めていきましょう。

 

お読みいただいた皆様の一助になれば幸いです。

 

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プログラマー、システムエンジニアを経て2001年にサイバーエイド株式会社を設立。
2008年に株式会社インタラクティブ・コミュニケーション・デザインにジョイン後は、2014年にベトナム・ホーチミンでオフショア開発拠点を立ち上げ、2017年に現地法人ICD Vietnam Limited Liability Companyを創業し現在に至る。
創業以降は東京のみならず、各国内地方拠点(札幌、名古屋、大阪)においても積極的にオフショア開発を推進し、国内のITエンジニア不足の解消を目指す。
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