あなたは今、ベトナム人エンジニアと働くために必要な知識を知りたいと思っていませんか?
日本に住む外国人のうち16%をベトナム人が占めているため、一緒に働く機会も多いでしょう。
(出典:出入国在留管理庁)
もしくは、ベトナムにある日系のオフショア企業と協力するうえで、ベトナム人エンジニアとコミュニケーションが必要になるかもしれません。
しかし日本人エンジニアと同じように接してしまうとトラブルの種になり、最悪の場合はプロジェクトが炎上してしまいます。
そこで本記事ではベトナム人エンジニアと働く上で必要な知識をまとめました。
私は日本で3年間エンジニアとして働いた後、現在はベトナムで6人の開発メンバーと日本の開発現場を繋ぐブリッジSEとして働いています。日本とベトナム、両方の開発現場を経験した私が、ベトナム人エンジニアの性格・得意分野・注意点を紹介します。これらを理解して、ベトナム人と共に働く上での助けとなれば幸いです。
目次
1.ベトナム人エンジニアの特徴
1.1 陽気なホーチミン、勤勉なハノイ
ベトナム人の性格は出身地によって異なります。
一般的に南の都市ホーチミン出身者は陽気、北にある首都ハノイ出身者は勤勉と言われています。
日本でも関東出身者はまじめなイメージがある一方、関西出身者は陽気で話も上手なイメージがありますよね。
そのためまずはベトナム人エンジニアに出身地を訪ね、ホーチミンをはじめとした南部の場合は陽気で話しかけやすく、ハノイをはじめとした北部出身者であれば勤勉でまじめな性格をイメージするのがおすすめです。
とはいえもちろん性格は各個人で異なるため、あくまでもイメージとしてお考え下さい。
1.2 建前を使う
日本人と同じように、ベトナム人も建前を使います。
初対面の場で積極的に意見を出す方は少数派で、争いを避ける傾向があります。
そのため、会議の場では意見を出しやすい環境を作り、発言を促すことでより建設的な議論ができるでしょう。
1.3 Web開発が得意
ベトナムのIT産業は急激に成長しています。様々なプロジェクトや技術領域に対する知見を持っていますが、特にWeb開発が得意です。
外資系企業の外注を請け負う企業が多いベトナムでは、Webやモバイルアプリ領域の技術力が急激に成長しているのです。
外資系企業の割合や、得意領域について詳しく知りたい方は以下の記事も併せてご覧ください。
1.4最もポピュラーなプログラミング言語はJava
ベトナムのIT業界求人サイト大手のITViecが発行するレポート(IT Viec salary report 2023)によると、ベトナムで一番使用されているプログラミング言語はJavaという結果が得られています。
去年の調査結果ではJavaScriptが一位でしたが、2024年の調査で順位が入れ替わりました。
1位 Java(14.7%)
2位 JavaScript(12.6%)
3位 C#(10.9%)
4位 SQL(8.8%)
5位 Python(7.8%)
一方、「学ぶ予定のプログラミング言語ランキング」の上位3つは以下の結果となりました。
1位 Python(30.1%)
2位 Go(15.6%)
3位 Java/JavaScript(14.6%)
日本でも人気が急上昇しているPythonは、ベトナム人のバックエンドデベロッパーの間で特に注目されています。
来年の「ポピュラーなプログラミング言語」の調査結果ではPythonの順位が大きく上がっているかもしれませんね。
また、依然としてJavaとJavaScriptが人気という事もわかります。
1.5 人気のフレームワーク/ライブラリはReact
フレームワークについてはReactが最も使用されており、ベトナム人エンジニアの22%が現在プロジェクトで使用しているという結果が出ました。
1位 React(22.1%)
2位 .NET(20.0%)
3位 Node.js(19.4%)
4位 Spring(12.0%)
5位 Vue.js(11.2%)
全体的にWeb開発のフレームワークが多い事がわかります。
またReactやNode.jsが人気なのは日本と変わりませんが、.NETが20%ものエンジニアに現在使用されている事が大きく異なっています。
1.6 設計とコーディングが得意
IT業界に外資系企業が多いベトナムでは、要件定義などの上流工程ではなくコーディングを得意とするエンジニアが多いです。
実はベトナムのIT業界における外資系企業は、各国のシステム開発における下流工程を請け負う事が大半で、高い言語能力が必要とされる上流工程は各国で行うのがメジャーです。
そのため、ベトナム人エンジニアは非常に高いコーディング力を持っているのです。
1.7 給料やキャリアを求めて退職する人が多い
ベトナムのIT業界求人サイト大手のITViecが発行するレポート(IT Viec salary report 2023)によると、退職理由に給料の低さとキャリア形成を挙げる方がそれぞれ3割に及んでいます。
個人的理由1位
キャリアを変えるため(フリーランス、スタートアップ、職種変更)(33.1%)
業務内容に関係する理由1位
給与が期待より低いため(33.9%)
転職先企業に関係する理由1位
企業に成長の可能性を感じない (23.7%)
一方、IT人材白書2020によると日本のエンジニアも給与を上げるために転職する事が多いです。
先端IT非従業者の転職理由
1位 自分のやりたい仕事ができなかったから(34.8%)
2位 給与を上げたかったから(34.5%)
3位 労働時間が長かったから(20.4%)
しかし労働時間が長い事はベトナムでは辞める理由として挙がっていません。
ベトナムでは基本的に残業する文化が無く、定時にすぐ帰宅する事が多いのです。
1.8 転職先選びでは企業の持つプロダクトや家からの距離も重視する
ベトナム人エンジニアが転職先を選ぶ際には、給与やキャリア形成の他、会社と自宅の近さや会社の持つプロダクトに興味を持てる事を理由とする方がそれぞれ4割を超えています。
個人的理由1位
通勤の距離が10㎞未満だから(41.6%)
業務内容に関係する理由1位
ステップアップのため(44.9%)
転職先企業に関係する理由1位
企業のプロダクトに興味がある(42.6%)
一般的にベトナム人は家族や友人との時間を大切にするため、通勤時間の短さを重視するのです。
また、転職先企業のプロダクトを重視するのは、給料を得るための仕事ではなく、人生の楽しみの1つとして仕事を選びたいという想いがあるのかもしれませんね。
1.9 日本人よりも英語が得意
EF Japanの2023年度調査レポートによると、日本人のEF EPIスコアが457なのに対し、ベトナム人は505を取得しています。
アジア地域の順位では日本が15位なのに対してベトナムは7位ですから、日本人よりも英語を話せる人は多いといえるでしょう。
実際私が職場で英語で話したときに理解してくれることが多く、若い人であれば特に通じやすい環境です。
ただしどうしてもベトナム人特有の訛りがあるので、会話をするためにはベトナム人の話す英語に慣れる必要があります。
1.10 年齢の中央値は32歳
国際連合のデータによると、2021年時点ではベトナム国民の年齢の中央値は32歳です。
ベトナムと聞くと若い人が多いイメージを持つ方が多いかもしれませんが実は平均年齢は年々上昇しています。
オフショアで有力な選択肢として挙がる他の国については、フィリピンが24.5歳、バングラデシュが26.3歳、インドが27.6歳ですから、他の国と比べると高齢化が進んでいる事がわかります。
とはいえ日本の場合は48.4歳なので、日本と比較するといずれの国も若い方が多いという事は間違いありません。
1.11 日本語話者が多い
国際交流基金の「2021年度 海外日本語教育機関調査」によると、ベトナムにはおよそ17万人もの日本語学習者がおり、この数はタイに次いで世界で6番目に多い数です。
上述した調査結果によると、外国人が日本語を学ぶ理由として最も多いのはアニメや漫画に対する興味ですが、ベトナム人は就労・進学で日本に来る方が多い事が他の国と異なります。
本気で日本語を学ぶ人の割合が他の国よりも高いため、高い日本語能力を持っているのかもしれません。
1.12 休日はカフェでゆっくり
休日の過ごし方は日本人と大きく変わらず、友人と食事に行ったりアクティビティを楽しむことが一般的です。
しかしベトナム人は頻繁にカフェに行く点が異なっています。
カフェでは勉強をしたり友人と話す等様々ですが、友人と一緒に来て話すことを楽しむ方が特に多いです。
その点は日本人よりもおしゃべりで、会話を楽しめる国民性と言えます。
2.まとめ
本記事ではベトナム人の特徴をまとめました。
しかし当然ながらそれぞれの個人で性格や得意分野は異なりますので、実際にコミュニケーションをとって相互理解することは必須です。
ICDベトナムではベトナム人エンジニア各個人の特性を踏まえ、最高のパフォーマンスを発揮できる体制を採用しています。
開発に関するご相談をお受けしておりますので、お悩みの方はどうぞお気軽にご連絡ください。