
あなたはソフトウェアやシステム開発を外注するのにあたり、オフショア開発でどの程度費用が掛かるのか気になっているところではないでしょうか。
弊社はIT企業として20年以上の実績があり、蓄積したデータを活用しながらまとめております。費用相場の紹介だけでなく、”損しない”ために抑えるべき大切なポイントも紹介します。本記事を参考に、費用相場を理解したうえで、あなたがプロジェクトに適したオフショア開発を選定できるようになることを約束します。
そもそも「オフショア開発」について知りたい人は、「オフショア開発とは?概要やメリット、成功させるポイントを紹介」の記事をご参照ください。
目次
1. オフショア開発の費用相場
オフショア開発の費用相場は、システムの規模やメンバー数、プロジェクト期間によって大きく異なるため、一概に言い表すことはできません。弊社で取り扱っている案件の平均は、月額100~300万円程度が多く、これはオフショア開発の相場にも近しいラインとなっています。ただし、あくまで弊社の一例であり、プロジェクトの特性によって大きく変動します。
ここから先は、具体的なプロジェクトに関して考慮すべきポイントをいくつか挙げてみます。システムの複雑さや機能要件、開発に必要なスキルセット、作業期間、チーム構成などが費用に大きな影響を与えます。適切な見積もりを行うためには、これらの要素を詳細に検討し、実際のニーズに合わせたカスタマイズが必要です。
1.1契約形態別:オフショア開発の費用相場
オフショア開発の費用は契約形態によって変わります。
オフショア開発は主に請負(受託)型とラボ型に区分することができ、それぞれの費用相場は次の通りです。
- 請負型:501~1000万円
- ラボ型:51~200万円
※請負型は納品するまでの一括費用、ラボ型は月単位での費用となっています。
※ラボ型開発の詳細は、「ラボ型開発とは?メリット・デメリットをわかりやすく解説」の記事をご参照ください。
また、それぞれのボリュームゾーンは、オフショア開発白書の20ページ目によると以下の通りとなっています。
上のグラフは「請負型」の契約形態における予算を示しています。
501~1000万円の規模の開発が主なボリュームゾーンとなっています。
下のグラフは「ラボ型」の契約形態に関連する予算です。
51~200万円の予算が一般的なボリュームゾーンであり、この規模のラボ体制が一般的です。
1.2 オフショア開発に伴う基本的な費用要素
オフショア開発費用の大部分は「人件費」で構成されています。
人件費は、ポジション/その人のスキル/人数によって変わってきます。1人当たりの金額(単価)は企業によって基準が異なるので実際には何社かから見積もりを取得して比較するのが良いでしょう。
具体的には、以下のような費用が想定されます。
エンジニア(PG, SE)の人件費
オフショア開発にかかる人件費の中でも、その割合の多くを占めるのがエンジニアの人月単価です。
人月単価とは、1人が1ヶ月間にできる業務量に対する単価のこと。
たとえば「人月単位が50万円」の場合 1か月の稼働に支払う額は50万円になります。
※人月単価については、 人月単価とは?単価の相場と費用を抑えるためのコツも解説 の記事をご参照ください。
ブリッジSE(BSE)の人件費
オフショア開発を進める上で海外と日本とのコミュニケーションを円滑にするために必要不可欠な存在が「ブリッジSE」です。
具体的にはプロジェクトの計画、説明や設計書の作成などを行います。現地の日本語ができるエンジニアが担当する場合や日本国内でエンジニアを用意する場合もあります。
ただ、現地のブリッジSEだとコミュニケーションが上手く取れない等のトラブルは良く聞く話です。日本人のブリッジSEが在籍する会社を選択するのはマストでしょう。
※ブリッジSEについては、 ブリッジSEとは?オフショア開発で欠かせない理由と役割を解説 の記事で詳細記載しています。
プロジェクトマネージャー(PM)の人件費
プロジェクトマネージャー(PM)を海外拠点でアサインする場合は、その分の単価が上乗せされます。(依頼する側で用意する事も可能)
PMは、プロジェクトの責任者としてスケジュール管理・予算や工数の決定など、全体の指揮を担当する職種です。
開発経験が豊富でマネジメント能力に長けた人材がアサインされるので人月単価も高い傾向があります。
その他 経費
その他にも通訳などの人材もアサインされます。
日本語の資料を現地語に翻訳するなどの業務がありますが、1ヶ月翻訳作業などが発生することはないので0.3~0.5人月の費用が発生する可能性があります。
以上の要素で構成されています。
1.3 開発先地域による費用の違いについて
上記で費用の内訳を説明しましたが人件費によって開発費は大きく変わります。
それは国によって違いがあります。国ごとの費用を比べる事で適切な国を選択できるでしょう。
※各国で販売されている売価を元に調査。オフショア開発白書2024年度版調べ。
人月単価(万円) | プログラマー(PG) | エンジニア(SE) | ブリッジSE | PM |
---|---|---|---|---|
ベトナム | 39.4 | 48.3 | 59.0 | 70.0 |
フィリピン | 43.0 | 55.5 | 73.6 | 78.2 |
インド | 53.3 | 61.7 | 69.2 | 77.5 |
バングラディッシュ | 35.0 | 42.5 | 80.0 | 75.0 |
中国 | 44.4 | 58.3 | 65.0 | 75.3 |
ミャンマー | 26.9 | 41.9 | 55.6 | 66.9 |
※ プログラマー:コーディングや簡単なシステム開発を担当
※ シニアエンジニア:システム設計や開発を担当
※ ブリッジSE:ビジネスサイドとエンジニアサイドを繋ぐ役割を担うエンジニア
※ PM(プロジェクトマネージャー):プロジェクトにおける計画と実行の責任者
国ごとに詳細を解説した記事があるので、「オフショア開発の拠点として代表的な6ヶ国を紹介」についてもご参照ください。
1.4 <実例>日本と比較した場合
当社のウェブサイト開発の参考価格を例に日本の開発とベトナムオフショア開発を比較したのは以下の通りです。
日本で開発した場合 4,200,000円
ベトナムで開発した場合 2,360,000円
1か月で約1,840,000円の差がありオフショア開発を行う事で、年間で約22,080,000円のコストダウンになります。
※為替相場により上下することがあります
2. 実際のプロジェクトでのオフショア開発費用の事例紹介
オフショア開発における費用相場が見えてきたところで、弊社の具体的な事例を用いてさらに明瞭化していきます。
2.1 大規模なプロジェクト
大規模な場合は日本で開発するよりコストを抑える事ができその恩恵を得やすいと言えます。
<弊社の実例:位置情報活用アプリ開発>
位置情報と、写真データを組み合わせたライフログアプリ。地図上に写真を配置してライフログを残せるほか、ダウンロード用コンテンツも提供しており、すると生活に役立つ様々な地図を取得できます。
初期開発から担当しており、大規模なプロジェクトもコストを抑えつつ、オフショア開発での実現も可能となっております。
開発規模 | 20人月 |
---|---|
開発言語・使用技術 | Swift,Java |
開発費用 | 2000万円 |
2.2 長期的なプロジェクト
長期的の場合はプロジェクトを進めていく上で
メンバー同士のチームワークができ開発スピードや品質にも影響し質の高い開発が可能になるでしょう。
<弊社の実例:不動産デベロッパーとの連携可能なサービスサイト>
地域密着型サービスの提供を目的としており、継続的に運用されております。
開発規模 | 12人月(継続中) |
---|---|
開発言語・使用技術 | HTML,CSS,JavaScript,PHP |
開発費用 | 700万円 |
2.3 短期のプロジェクト
短期間での集中作業により、リソースを最適化し、効率的に活用することが可能です。
長期間にわたるプロジェクトに比べ、リソースの無駄を減らすことができます。
<弊社の実例:社内管理システム>
こちらは自社の社内システムになり、設計からリリースまでの開発作業をすべて自社内で完結させています。プロジェクトの工数管理や従業員情報管理などをまとめて1箇所で確認できるシステムです。
開発規模 | 6人月 |
---|---|
開発言語・使用技術 | GoogleAppEngine,mySQL,next.js |
開発費用 | 350万円 |
その他の詳しいICDのオフショア実績についてはこちらをご覧ください。
3. オフショア開発の費用を抑えるポイント
オフショア開発は、コスト削減や効率的なリソース活用が魅力ですが、
さらに費用を安くするポイントを抑えておくことで最大限オフショア開発を有効活用できます。また知識として持っておけば、失敗しないための大きなカギになります。
3.1 必要な機能を実装する
必要な機能だけを実装することは開発費用を安くするための重要なポイントとなります。
開発コストの大部分は人件費で構成さており、必要のない機能があると開発期間が長引き余計な費用がかかってしまい大きく損をします。
開発期間を短縮させるためにはプロジェクトの要件や仕様を明確にした要件定義書が重要になります。必要な機能と余分な機能の判断がつく要件定義書を軸に開発を進めると無駄な時間を削減し、人件費を抑えることができます。
良くある実例として、上流工程(要件定義等)は国内の人材で対応して、下流工程(コードを書くところ)は国外の人材を活用するといったケースは多く見受けられます。
3.2 ブリッジSEを契約する
コミュニケーションが困難な場合、要件や指示が誤って伝わり意図しない仕様となって無駄な修正が発生し、開発期間を通常よりも多く要し、結果として大きな損失に繋がってしまうこともあります。
そのため現地の言語と開発の知識、そしてマネジメント能力の優れた日本人のブリッジSEと契約し円滑にコミュニケーションを行う事で、最終的に余計な工数・コストを抑え品質を保った開発が可能です。
前述の通り、日本語が流暢な現地の人よりも生粋な日本人をブリッジSEとして配置してくれる会社を選択することはマストです。ここでのコミュニケーションミスで失敗するケースは良く聞くところです。
3.3 ラボ型開発を活用する
ラボ型開発を活用することで、必要な期間だけ必要なスキルを持った人材を必要な人数確保することができます。
例えば請負型開発だと、基本的に1つの案件(納品物)ごとに契約する必要があります。これをラボ型開発にすることで、複数案件を依頼することができるようになります。国内でいうSESみたいな感覚で、海外に専属チームを持つことができます。国内ではなかなか見つけづらいスキル感の人材も海外であれば容易に見つかる可能性も秘めています。
そのため、複数案件抱えている場合はラボ型開発を活用することで請負型よりも安く済むケースが多いでしょう。
3.4 実績のある企業に依頼する
当然のことですがオフショア開発の実績が少ない企業に依頼してしまうと、国(地域)選びや開発体制などの様々な問題で失敗してしまうことが多くあります。ですが既に実績が確かな企業への依頼であれば開発を成功するために必要なノウハウを熟知しているので、失敗や遅延のリスクが少なくトータルにみて費用を抑える事が可能になります。
「オフショア開発 費用」まとめ
オフショア開発の費用について解説してきました。
現状のオフショア開発の費用の内訳や国別の費用の違いを把握し、事例をみてイメージを沸かせ費用を抑えるポイントを活用することで費用を抑えて品質の高い開発が可能となるでしょう。
弊社は会社を立ち上げたから25年が経ちます。長年の経験からオフショア開発の手段について様々アドバイスできると思います。相談は無料です!お気軽にお問い合わせください。