あなたは今、アウトソーシングとオフショア開発の違いが気になっているところではないでしょうか?アウトソーシングとは、他社に外注することであり、外注という選択肢の中の1つとして、オフショア開発があります。
そんなアウトソーシングとオフショア開発の違いについて、オフショア開発会社としてベトナムにラボを設立してから10年経ち、オフショア開発会社及びオフショア開発を導入したことがある会社など約200社以上との打ち合わせ実績がある当社の蓄積データを最大限に活かし、解説いたします。
本記事を読んでいただき、アウトソーシングの中の1つであるオフショア開発を選択する判断材料に少しでもお役に立てたら幸甚です。
目次
1. アウトソーシングの中でのオフショア開発の位置づけ
「アウトソーシング」と「オフショア」は良く並べられがちですが、言葉の定義の範囲が異なります。この章ではそれぞれの定義について紹介します。
1-1. オフショアとは、アウトソーシングの中の1つ
「オフショア」とは、「アウトソーシング」の中の1つの選択肢です。
「アウトソーシング」とは、社内の業務の一部またはすべてを外部の会社へ委託すことを指します。外部の会社へ委託するのにあたり、大きく分けて3つにカテゴライズすることができます。その中の1つとして、海外企業へ委託する=「オフショア」となります。
オフショア開発の詳細については以下の記事をご参照ください。
2. オフショア開発と他のアウトソーシングとの比較
3つにカテゴライズできましたが、それぞれの特徴をここでは紹介します。
それぞれ特徴があるので、今回依頼する予定のプロジェクトに合わせて選択するようにしましょう。
2-1. オフショアと他のアウトソーシングの比較表
それぞれの特徴を表で整理してみました。
タイプ | 人材の数 | 人材のスキル | 体制構築の速度 | 費用 |
---|---|---|---|---|
国内企業 | 〇 | ◎ | 〇 | ▲ |
フリーランス | ▲ | 〇 | ▲ | 〇 |
海外企業 (オフショア) | ◎ | 〇 | ◎ | ◎ |
2-2. 最適なアウトソーシングの選択肢
これらを踏まえて、3つにカテゴライズされた選択肢のうち、今回アウトソーシングする予定のプロジェクトがどれにマッチするか検討しましょう。【数】【質】【速度】【費用】のどれを重視するかによって、選択肢が変わってきます。本記事では、フローチャートにまとめました。
(1)【数重視】人材不足で多くの人を集める場合
スキルはある程度担保された人材を多く(3人以上)集める必要がある場合です。
(2)【質重視】スキル不足で高スキルを持っている人を集める場合
費用はある程度掛かっても良いし、スピードよりもスキルが高い人を確実に確保したい場合です。
(3)【速度重視】スピーディーに体制構築をする場合
1ヶ月以内に人材を多く(3人以上)集める必要がある場合です。
(4)【費用重視】限りなく外注費を抑える場合
最低限のスキルがあれば良いので、外注費を限りなく抑えたい場合です。
3. アウトソーシング先の会社を見極める方法
初めてお願いするときは発注先の会社がどんな会社か分からないし、クオリティなども不安に思うかもしれません。
不安を払拭するために表面上で確認できることはあるので、事前に確認しておきましょう。
3-1. 基本情報を調査
※社内で外注するための規定が設定されている場合は、所属している会社の規定に沿ってまずは対応してください。
ここでは、打ち合わせをする前にWEB上で調べることができる会社の基本情報を紹介します。ここに記載されている要件をクリアしている会社であれば信頼度は高まるかもしれません。
(1)過去5年の売上が右肩上がり
- 過去5年間右肩上がりで上昇している会社はビジネスが回っている証拠として見て良いでしょう。
(2)資本金1,000万円以上
- 資本金があまりにも低いと体力がない会社と見られます。何かトラブルなどが生じた際に、支払遅滞や支払能力無しという可能性が出てきます。
(3)帝国データバンクでの評価
- 帝国データバンクで、その会社の評定をしてもらうことができます。
(4)過去の裁判沙汰等のトラブル確認
- 過去に大きなトラブルを起こしていないか確認しましょう。信用度に繋がる問題なので、大事なところになります。
(5)口コミサイトの検索
- 実際の利用者の声は参考にすべき要素の1つです。ただ、鵜吞みにしすぎるのも危険なので1つの指標として参考にしてください。
(6)これまでの実績を確認
- コーポレートサイトに掲載されているケースが多いので、まずはホームページを確認しましょう。
- それだけでは不安 or 掲載されていない場合は、直接問い合わせて類似実績を出してもらいましょう。
※実績を見てしっくりこない場合は、他の会社が良いかもしれないです。
(7)個人情報取り扱いに関する資格を確認
- 「ISO27001(ISMS)」を取得しているか。
組織が情報セキュリティを確保するための仕組みを構築・運用できていることを証明するセキュリティに関する国際規格の認証です。国際規格なので、下記のPマークよりも難易度は高めともいえるでしょう。
- 「Pマーク」を取得しているか。
Pマークとは、個人情報の適切な取り扱いを行っていることを示す日本独自の認証です。日本工業規格に基づく監査が必要で、Pマークの取得には特定の要件を満たす必要があるので、取得している企業は個人情報を適切に取り扱っている証拠にもなります。
(8)比較サイトを利用する
- 比較サイトで複数の企業からの提案を見ることで、比較検討がよりしやすくなると考えられます。ただ、上記の確認ポイントや、次項で解説する内容を網羅している会社を優先することを忘れないようにしてください。
3-2. 体制を確認
(1)体制構築までに要する時間
素早く体制構築ができない場合、納期の見直しなどを検討しないといけなくなります。必ずいつから作業が開始できるか確認しましょう。
(2)商流の確認
場合によっては、2次請け・3次請けをしている可能性があります。商流が深くなるほど管理がしづらくなり、何かトラブルが起きたときの責任の所在も複雑になってしまうので、再委託する場合は事前に相談してもらうようにしましょう。
3-3. 金額を確認
(1)参考見積の作成依頼
- 最終的な決め手となることが多いのが金額になります。自身の予算と照らし合わせて確認しましょう。
- 1社だけでなく、3社程度から見積もりを取得するようにしましょう。
- 安いに越したことはないですが、断トツに安い場合は、依頼の齟齬や安くできるカラクリがあるかもしれないので、金額と依頼内容の認識の最終確認をしましょう。
(2)見積もりをもとに金額交渉
- 最初に提示された金額は、いろいろ上乗せにされている可能性が高いです。金額交渉して、1円でも安くできるようにお願いしましょう。
- 交渉するときは、「他社よりも貴社の信頼を買っているが、金額で社内決済が通らず、他社は●●円なので、●●円(他社の金額に近いところ)まで下げられないか?」のような常套手段があります。
- 金額が着地したら注文書と請書を取り交わすようにしましょう。 ※必要ない場合もあります。
4. アウトソーシング先を選定後の進め方
3章を参考にして、外注先が決まった後の流れを4章では紹介します。
4-1. 作業開始までの進め方
(1)契約関係の締結(業務委託、秘密保持など)
業務を依頼する人材を選定し、要件が合意したら、業務委託契約と秘密保持契約を結びます。契約書には法的な規定や責任範囲だけでなく、業務の範囲や支払い条件、期日、著作権、損賠賠償などの項目を盛り込む必要があります。かなり重要なフェーズですので、後のトラブル回避のためにも丁寧に契約内容を決めるようにしましょう。
※業務委託契約は下記の4種類に分類されます。
契約形態 | 内容 |
---|---|
請負契約 | 仕様が既に決まっており、その仕様通りに完成品を仕上げる必要がある。納期を大幅に遅延したり、仕様に沿った機能がない場合は、受注者側に損害賠償を請求される可能性がある。 |
派遣契約 | 人材を派遣してもらいたいときに選択する。派遣された人材への指示だしをすることができるので、他の契約形態に比べて作業は進めやすい。ただし、契約で締結した内容と異なる業務を強制した場合は、発注者側に損害賠償を請求される可能性がある。 |
委任契約 | 登記申請などの役所に何か書類を提出する際など法律業務に関する外注を行う際に選択する。 |
準委任契約 | 法律業務外のセミナーの講師やSES業務の遂行を求める際に選択する。 |
(2)具体的な業務内容の説明
業務内容を具体的に説明します。業務開始後に依頼の追加や変更が発生したときは、速やかに連絡して報酬や納期などの条件の調整も行いましょう。
4-2. 作業後~納品までの進め方
(3)作業の進捗管理
作業が開始しても、放置せずに定期的に進捗管理することが重要です。可能な範囲で週に1回定例会を実施して進捗を共有してもらえるのがベストでしょう。結果的に納品後の大きな乖離や質の高い納品に繋がるでしょう。
事前にトラブルが発生したときの緊急連絡先や誰が何をするのか体制図を提供してもらうようにすればより解像度高くコントロールすることができるでしょう。
4-3. 納品~請求までの進め方
(4)履行内容の確認
納品報告を受けたら履行内容の確認をしましょう。事前に取り決めした契約内容に沿って行われたか確認します。修正の必要があれば、修正指示をして再納品を依頼するようにしましょう。進捗管理をしっかりとしていれば大きな修正点は生じないはずです。
(5)報酬の支払い
業務完了後に、請求書を受け取り契約書の支払条件に沿って支払いしましょう。
5. まとめ
オフショア開発を含めたいくつかあるアウトソーシングの手段について、選択肢としてどれが最適かフローチャートを通して紹介しました。
アウトソーシングにおいて、本記事に書かれていないけど、このケースはどれが最適なの?と些細なことでも聞きたいことがありましたら、いつでもご連絡お待ちしております。ぜひお気軽にお問い合わせください。