パッケージ開発とは何をするのかご存知でしょうか?
パッケージという言葉は様々な業界で使われており、商品を包装するものを指しているケースなどが思い浮かべられるのではないでしょうか。
ただ、パッケージに開発がついて「パッケージ開発」となると、ITに関する用語になります。
そんなパッケージ開発ですが、IT業界では一般的に使われており、開発の手法のことを指しております。
本記事ではそんなパッケージ開発について、IT事業を展開し約24年の開発実績を持つ弊社がこれまで蓄積してきたノウハウを活かしながらわかりやすく解説します。
ぜひ、お読みいただき参考にしていただければと思います。
目次
1.パッケージ開発とは
始めにパッケージ開発について解説していきます。
また、よく対比されるパッケージ開発との違いについても合わせて解説いたします。
1-1パッケージ開発とはパッケージを自社に合わせてカスタマイズすること
パッケージ開発は既存のパッケージソフトを活用し、開発を進めます。
そしてエンジニアとしての知識が無くても開発ができるなど、難易度が低い開発手法となります。
具体的には下記のような製品がパッケージ開発の際に活用されています。
Kintone(キントーン) |
Salesforce(セールスフォース) |
e受発注 |
Aladdin Office |
EC-Orange |
しかし、パッケージ開発では、パッケージの有無やツール機能の対応範囲など、どんなものでも開発できるということはなく、制限があることは注意しましょう。
分かりやすい例としては住宅の建設で解説していきます。
住宅を建てる際には注文住宅と分譲住宅の2択になるケースが大半かと思います。
注文住宅は購入者が土地が許す限り好きな間取りにできるなどオーダーメイドで建築できます。
一方、分譲住宅の場合は既に完成形があり、その中で例えば壁紙を変更したりなど部分的に希望に合わせることや改築などができます。
パッケージ開発はこの分譲住宅にあたります。
また、次項で解説しますが注文住宅はスクラッチ(フルスクラッチ)開発にあたります。
1-2スクラッチ開発との違い
スクラッチ開発とはソフトウェアやシステムをゼロから作りだす開発手法であり、
完全にオーダーメイドなものを作ることができます。
自社に合った自社だけのオリジナルなものが完成します。
その反面、時間や費用が多めにかかることはネックになりますが、自由度の高さは秀でています。
スクラッチ開発はゼロから開発を進めるため、エンジニアがいない場合は開発が進められませんが、既存のパッケージやノーコード開発ツールなど高度なスキルがなくとも開発ができるパッケージ開発ではエンジニアがいなくとも開発が進めることができます。
スクラッチ開発によく似た言葉で「フルスクラッチ開発」という開発手法もあります。
両者ともゼロから作ることは同じですが、違いとしてはテンプレートやフレームワークなどを一切使わないのがフルスクラッチ開発です。
パッケージ開発 | スクラッチ開発 | フルスクラッチ開発 |
---|---|---|
エンジニアがいなくても開発が可能 | システムをゼロから開発 | フレームワークやテンプレートを一切使用しない |
納期が短い | 希望した内容の開発が可能 | システムをゼロから開発 |
パッケージ外のものは対応できないケースがある | エンジニアが必要 | 希望した内容で完全にオリジナルなものが作れる |
完成品が他社と類似する可能性がある | 完全にオリジナルなものが作れる | エンジニアが必要 |
2.パッケージ開発の3つのメリット
パッケージ開発の3つの、メリットについて解説していきます。
2-1 費用を抑えるがことできる
パッケージ開発ではパッケージソフトやツールなどを活用するため、費用を抑えることができます。
パッケージソフトの販売価格よりも開発エンジニアの人件費が高い傾向であるため、費用を抑えることが可能となっております。
一方、スクラッチ開発はゼロから開発をスタートさせるため、そこにかかる人員の数など、パッケージ開発と比較して費用が高くなる傾向にあります。
そのため、費用を抑えたいという方におすすめできる開発手法となっております。
また、開発を外注した場合のそれぞれの費用です。
スクラッチ開発 | 500万円~ |
パッケージ開発 | 300万円~ |
ただし、開発する内容によっては金額が変動するため、詳しくはソフトの販売先または開発依頼先へ確認しましょう。
2-2 納期が短期間で済む
前述している通り、パッケージ開発はゼロから開発するのではなく、パッケージソフトなどを活用します。
そのため、完成形が大方できているため短期間での開発が可能になっています。
特に、急を要するものなど完成までの期日が短い場合などはおすすめの開発手法です。
一方でゼロから開発するためスクラッチ開発は長期間の時間を要するため、時間を優先事項にしている方は迷わずパッケージ開発をすすめましょう。
また、開発を外注した場合、パッケージ開発では3カ月~が目安の期間であり開発時間を短縮することができます。一方、スクラッチ開発では最低でも半年~が目安になるため、時間に余裕をもって進めることが重要です。
より適切な進め方を検討していきましょう。
スクラッチ開発 | 6カ月~ |
パッケージ開発 | 3カ月~ |
2-3 エンジニア無しでも良いケースがある
例えばキントーンのようにエンジニアとしての知識がなくとも開発ができるパッケージソフトもあります。
開発と言えば、設計をしてソースコードを書いてなど専門的な知識が必須になっていましたが、
パッケージソフトが発表されたことで、エンジニアじゃなくともアプリなどが作れてしまいます。
3.パッケージ開発の2つのデメリット
パッケージ開発の2つのデメリットについて解説していきます。
3-1 対応が困難の機能もある
パッケージソフトの中で対応が困難な機能もあります。
それぞれのソフトで対応ができる範囲が決まっており、範囲外のものは、プラグインで機能追加をしたり、販売会社に改修を依頼したりなどの方法はありますが、費用が余計に発生してしまうなどの懸念点があります。
まずは、必要な機能が全て揃っていること、不足機能の対応方法などを確認の上、パッケージ開発を進めていきましょう。
3-2 提供会社の倒産、サポートの中止のリスクがある
パッケージ開発ではパッケージソフトの販売会社の倒産やサポートの打ち切りなどのリスクがあります。
最悪の場合、開発したシステムが使用できなくなる可能性があります。
一方でスクラッチ開発であれば、定期的なメンテナンスが必要ですが、自社のシステム開発部門やシステム開発の協力会社に依頼することなどで、結果的に長期間使用することが可能となります。
商談内容や契約内容などを管理する顧客管理システムを例として考えてみましょう。
顧客管理システムの開発を例としてパッケージ開発とスクラッチ開発を比較しました。
スクラッチ開発の場合は開発完了後も定期メンテナンスなどを行いシステムの維持管理により長期間使用することが可能です。
一方パッケージ開発では、パッケージ提供会社のA社が倒産やサービスの終了を発表した場合は、
その時点からパッケージが使えなくなることで、開発した顧客管理ツールも使用不可となってしまいます。
その危険性が無いスクラッチ開発なので、長期間使用することが可能です。
4.パッケージ開発をおすすめできるケースとそうでないケース
前述している通り、パッケージ開発には納期が短く費用を抑えることができる反面、 自由度が低いことなどのデメリットも存在します。
その特徴を踏まえてケース別におすすめできるか解説していきます。
4-1 パッケージ開発をおすすめできるケース
パッケージ開発をおすすめできるケースについて解説していきます。
下記のような状況であればパッケージ開発を活用してみましょう。
- 予算がぎりぎり、社内で使うシステムなので安く済ませたい。
- 開発期間が短期間しか取れていない
- 自社内で開発を行いたいが、エンジニアとしての有識者がいない
例えば、kintone(キントーン)は顧客の情報や商談内容、担当者名まで一括で管理でき、社内共有も容易にできることなど機能が揃っているパッケージもあります。
必要な機能が揃っているパッケージが販売されているケースであれば、スクラッチ開発すること自体が無駄になってしまいます。
4-2 パッケージ開発をおすすめできないケース
パッケージ開発をおすすめできないケースについて解説していきます。
下記の状況であればパッケージ開発以外の方法で開発をしましょう。
- パッケージやツールでは対応できない複雑な開発である
- 他社にはない完全にオリジナルなシステム、アプリを開発したい
例えば、新しいアプリを開発する際に、他社が作ったことがなく完全に自社オリジナルで開発したい場合はスクラッチ開発をしましょう。
パッケージを活用することで、他社と同じような機能になりオリジナル性が欠けることや、デザイン面で類似する可能性もあるため、スクラッチ開発をおすすめします。
パッケージ開発のまとめ
パッケージ開発について解説をしてまいりましたが、メリットなどを含めてご理解いただけましたか。
納期が短く、状況によってはエンジニアのような専門知識が無くても開発ができるなど便利さがあります。
スクラッチ開発程の自由さはありませんが、初めての開発でも安心できるパッケージ開発を一度お試しいただいてはいかがでしょうか。
お読みいただいた皆様の一助になれば幸いです。