
AI OCR(人工知能OCR)は、従来のOCR技術にAIを組み合わせることで、文字認識精度と業務効率を飛躍的に向上させるソリューションです。この記事では、AI OCRの基本概念から導入メリット/活用事例/最適なAI OCRの選び方までを解説します。
Google Cloud VisionAPI、Amazon Textractなど…具体的なサービス名も交えながら、AI OCRの導入を検討している企業担当者に向けて、導入を成功させるための情報を提供します。
弊社はシステム開発会社です。まさに様々な企業のAI OCRの導入/開発支援をしている会社であり、AI OCRを導入することでクライアント様の企業価値を高めることをしています。会社を立ち上げてから約25年経つこれまでの経験から本記事を通してデジタルBPOについて解説していきます。
目次
1.AI OCRとは? 基本と従来のOCRとの違い
1章ではそもそもAI OCRとは何なのか解説していきたいと思います。従来のOCRとの違いは何でしょうか…。
1-1.AI OCRとは、OCRにAIを搭載させること
まず、OCRについて解説すると、OCR(Optical Character Recognition)とは、手書きや印刷された文字をデジタルデータに変換する技術のことです。AI OCRは、この技術にAIを組み込むことで従来型のOCRでは難しかった非定型フォーマットの認識や文字認識精度の向上を実現できるようになりました。
これまでのOCR技術は、事前に定義されたフォントや書式に基づいて文字を認識していました。そのため、手書き文字や書式が統一されていない書類の読み取りは困難でした。しかし、AI OCRは、ディープラーニングなどの機械学習技術を活用することで、これらの課題を克服して、より柔軟で高精度な文字認識を可能にしました。
AI OCRの登場により、これまで人間が行っていたデータ入力作業を大幅に自動化できるようになり、業務効率化やコスト削減に大きく貢献しています。また、AI OCRは、様々な業界や業務で活用されており、その応用範囲は今現在でも広がりを見せているところです。
1-2.AI OCRはGoogle Cloud Vision APIを活用
AI OCRの多くは、Google Cloud VisionAPIなど…クラウドベースのAIサービスを利用しています。これにより、高度な文字認識能力や画像処理能力を活用し、多様なドキュメントからのデータ抽出を可能にしています。
Google Cloud Vision APIは、Googleが提供するクラウドベースの画像認識サービスです。このAPIを利用することで、AI OCRは、画像内の文字を検出して、テキストデータに変換することができます。また、Vision APIは、多言語に対応しており、様々な言語のドキュメントを処理することもできます。
クラウドベースのAIサービスを利用することで、当然ながらクラウド上での処理になるため、自社で高性能なハードウェアを用意する必要がなく、導入コストを抑えることができます。
1-3.AI OCRと従来型OCRの比較
従来型OCRは、定型フォーマットの書類には対応できますが、非定型フォーマットや手書き文字の認識は苦手ということを伝えてきました。一方、AI OCRは、大量のデータを学習することで、様々な文字や書式に対応できるようになりました。また、自己学習機能により、新しい文字や書式を学習して、より認識精度を向上させることができます。
AI OCRの登場により、これまでOCR化が難しかった書類もデジタルデータとして活用できるようになり、業務効率化や情報活用に大きく貢献しています。例えば、手書きのアンケート用紙や書式がバラバラな請求書など…AI OCRを使えば効率的にデータ化できてしまうのです。
2.AI OCR導入のメリット
2章ではAI OCRを導入することでどのようなメリットを持っているのか、解説していきます。
2-1.高精度な文字認識による入力ミスの削減
AI OCRは、従来の手入力によるミスを大幅に削減します。特に、請求書や納品書などの大量の書類を扱う業務において、正確性の向上は大きなメリットとなります。
手入力によるデータ入力は、人的ミスが発生しやすい作業です。特に、大量のデータを入力する場合、集中力が低下し、入力ミスが発生する可能性が高まります。AI OCRは、高精度な文字認識により入力ミスを大幅に削減し、データの正確性を向上させることができます。
データの正確性が向上することで、手戻りの削減や意思決定の質の向上にもつながります。例えば、請求書の入力ミスが減ることで、請求処理の遅延や顧客とのトラブルを防止することができます。
2-2.RPA連携による業務プロセスの自動化
AI OCRとRPA(RoboticProcessAutomation)を連携させることで、データ入力から処理までの一連の業務プロセスを自動化できます。これにより、人的リソースをより人が必要な業務に充てることができるようになります。
RPAは、定型的な作業を自動化するソフトウェアロボットです。AI OCRで読み取ったデータをRPAが自動的に処理することで、データ入力から処理までの一連の業務プロセスを完全に自動化することができます。
例えば、請求書のデータをAI OCRで読み取り、RPAが会計システムに自動入力することで、請求処理業務を大幅に効率化することができるようになります。
2-3.人的コストと時間コストの削減
AI OCRの導入により、データ入力にかかる人的コストと時間を大幅に削減できることが期待できます。入力ミスの削減による手戻りの減少もコスト削減に貢献します。手戻り作業は、時間と労力を浪費するだけでなく、業務全体の効率を低下させる要因となります。
また、高速にデータ処理を行うため、時間コストも削減することができます。人が手で入力するよりも格段に速く、ミスも少ない。こんな都合が良いことないんじゃないでしょうか!?
AI OCRを導入するきっかけとしては十分でしょう。
3.AI OCRの種類と選び方
それでは3章では具体的にAI OCRの種類とその選び方について解説していきたいと思います。
3-1.汎用型と業務特化型
AI OCRには、汎用的に様々な書類に対応できるタイプ(汎用型)と特定の業務に特化したタイプ(業務特化型)があります。自社の業務内容や扱う書類の種類に応じて、最適なタイプを選びましょう。
タイプ | 特徴 | 向いてる業務 |
汎用型 | 様々な種類の書類に対応できるため、幅広い業務で活用できる | 決められたフォーマットがなく様々な書類を扱う |
業務特化型 | 特定の業務に最適化されており、より高い精度でデータ抽出できる | 請求書や履歴書など…決められたフォーマットの書類を扱う |
3-2.定型フォーマットと非定型フォーマット
自社で扱う書類が定型フォーマット中心か、非定型フォーマットが多いかによって、必要なAI OCRの機能は異なります。それぞれに合うAI OCRを選択する必要があります。
定型フォーマットの書類は、書式が統一されているため、比較的容易にOCR化することができます。しかし、非定型フォーマットの書類は、書式がバラバラであるため、OCR化が困難です。AI OCRは、AIの学習能力により非定型フォーマットの書類にも対応することができます。
例えば、手書きのアンケート用紙や書式がバラバラな契約書など、非定型フォーマットの書類を扱う場合、非定型フォーマットに対応できるAI OCRを選ぶ必要があります。
定型フォーマットの方が容易にできることからも非定型フォーマットの方が費用は高くなります。
3-3.AI OCRの主要サービス比較
Google Cloud Vision OCR、Amazon Textractなど…世の中には様々なAI OCRサービスが存在します。各サービスの特徴や料金、導入事例などを比較検討し、自社に最適なサービスを選びましょう。
<Google Cloud Vision OCR>
GoogleのクラウドベースOCRサービス。日本語を含む多数の言語に対応し、手書き文字や印刷文書の認識精度が高いのが特長。画像解析(ラベル付け、顔検出など)とも連携可能で、スキャン文書から自動的に構造を読み取る機能も備える。APIでの利用が中心。
<Amazon Textract>
AWSが提供するOCRサービスで、単なる文字認識だけでなく、表やフォームの構造を理解してデータを抽出できるのが強み。PDFやスキャン画像から自動的にキーと値を抽出するなど、ドキュメント処理業務に最適。セキュリティやスケーラビリティにも優れる。
<Microsoft Azure Computer Vision OCR>
Microsoft Azureの一部として提供されるOCR機能。多言語に対応し、レイアウト認識や読み取り順の自動補正などに強みがある。クラウド上で処理できるほか、オンプレミス向けのエッジ対応もあり、柔軟な展開が可能。Office製品との連携性も高い。
<ABBYY FineReader>
デスクトップ型OCRソフトの代表格。高精度な文字認識とレイアウト保持性能に優れており、PDF編集やファイル変換、バッチ処理も対応。クラウド版やSDK提供もあり、業務用途に柔軟に対応。紙ベースの業務デジタル化に定評がある。
<Tegaki>
日本企業Cogent Labsが提供する日本語特化型AI OCR。手書き文字の読み取りに強く、帳票や申込書などのアナログ文書を高精度でデジタル化可能。独自のAIモデルで非定型レイアウトにも対応。日本語環境に最適化されたUIとサポート体制が強み。
このように様々なAI OCRのサービスが存在します。まだまだ存在するので、自社に合うものに巡り合えるまで探す必要は出てくるでしょう。また、外部パートナーを使って自社オリジナルに開発することもできます。
そして、弊社はまさにAIを活用したシステム開発をを受託している会社です。システム開発において様々な体制を組むことができるのが強みでオフショア開発、ニアショア開発、オンサイト(常駐型)開発、受託開発など…お客様の状況に合わせてご提案いたします。と、文字だけであればいくらでも語れるのですが、直接話してみた方がスピーディーに進むと思います。なので、弊社の紹介はここまでとして、AI OCRの導入を検討している方はお気軽にご相談ください。相談は無料!です。
4.AI OCRの活用事例
4章ではAI OCRの活用事例を見てみましょう。事例を見ることで自社に取り入れたときの姿がより鮮明に見えてくるのではないでしょうか。
4-1.金融業界:口座開設書類の自動処理
金融機関では、口座開設書類や本人確認書類の処理にAI OCRが活用されています。これにより、処理時間の短縮と顧客満足度の向上を実現しています。
口座開設書類や本人確認書類は、手書きのものが多く、従来のOCRでは読み取りが困難でした。AI OCRは、手書き文字の認識精度が高いため、これらの書類の自動処理を可能にしました。窓口での待ち時間を短縮し、顧客満足度を向上させることができます。また、事務処理の効率化により、人的コストを削減することができます。
4-2.医療業界:診療記録のデータ化
医療機関では、診療記録やカルテのデータ化にAI OCRが活用されています。これにより、記録の検索性向上や医療データの分析に貢献しています。
診療記録やカルテは、手書きのものが多く、電子化が遅れていました。AI OCRを活用することで、患者の病歴や治療履歴を容易に検索できるようになり、より適切な医療を提供することができるようになりました。また、医療データを分析することで、疾病の予防や治療法の開発に貢献することができます。
4-3.不動産業界:契約書の自動処理
不動産業界では、契約書や物件情報のデータ化にAI OCRが活用されています。これにより、契約業務の効率化や物件情報の管理を容易にしています。
不動産契約書は、書式が複雑で文字数も多いため、データ入力に時間がかかっていました。AI OCRを活用することで、契約業務の効率化を図り、人的コストを削減することができます。また、物件情報をデータ化することで、物件情報の検索や管理を容易にすることができます。
5.AI OCR導入の注意点と導入後の運用
5章ではAI OCR導入の際の注意点と導入後の運用方法について解説していきます。
5-1.人の目による確認は必要
AI OCRは非常に高精度ですが、100%の精度を保証するものではありません。重要な書類に関しては、人の目で確認するプロセスを設けることが重要です。
AI OCRは、学習データに基づいて文字認識を行うため、学習データにない文字や書式は正しく認識できない場合があります。また、画像の品質や解像度が低い場合も、認識精度が低下する可能性があります。重要な書類に関しては、AI OCRの結果を鵜呑みにせず、人の目で確認するプロセスを設けることで、誤認識によるリスクを回避することができます。ダブルチェック体制を構築するようにしましょう。
人の目で確認するフェーズを挟んだらAI OCRの意味なくない?と思われるかもしれませんが、人が入力する手間を考えたら格段に効率的です。また、人が入力しても誤入力はあるものですし、ダブルチェックはするものなので、あまり悲観的になる必要はないのではないでしょうか。
5-2.導入後の継続的な学習と改善
AI OCRは、学習データが多いほど認識精度が向上します。導入後も、定期的に学習データを見直し、不足しているデータを追加したり、誤認識しやすいデータを修正したりすることで、認識精度を向上させることができます。
また、AI OCRのベンダーが提供するアップデートを適用することで、最新のAI技術を活用し、認識精度を向上させることができます。継続的な改善が重要です。
5-3.ベンダーとの連携、サポート体制の確認
AI OCRの導入後、操作方法がわからない場合やトラブルが発生した場合に、ベンダーのサポートが必要となる場合があります。ベンダーのサポート体制や対応時間、対応方法などを事前に確認しておくことで、安心してAI OCRを利用することができます。また、ベンダーが提供するトレーニングやセミナーに参加することで、AI OCRの知識を深め、より効果的に活用することができるようになるのではないでしょうか。
6.AI OCRのよくある質問
Q. AI OCRと従来のOCRの違いは何ですか?
A.従来のOCRは印字された文字の読み取りに特化していますが、AI OCRは手書き文字やレイアウトの異なる書類にも対応し、機械学習により読み取り精度が継続的に向上します。
Q.どのような帳票や書類に対応できますか?
A.領収書、請求書、注文書、アンケート、履歴書など…多様な非定型帳票や手書き文書にも対応可能です。
Q.導入にかかる費用や期間はどのくらいですか?
A.利用するサービスによりますが、クラウド型の場合は初期費用が少なく、数日〜数週間で導入可能です。オンプレミス型は要件により異なります。
Q.既存のシステムと連携できますか?
A.多くのAI OCRサービスはAPI連携やRPAとの統合が可能で、基幹システムやワークフローシステムとも柔軟に連携できます。
Q.読み取り精度はどのくらいですか?
A.利用するサービスによりますが、一般的には印字文書98%、手書き90%と言われています。事前のPoC(概念実証)で確認するようにしましょう。
「AI OCR」まとめ
AI OCRは、従来のOCR技術にAIを組み合わせることで、文字認識精度と業務効率を飛躍的に向上させるソリューションです。本記事では、AI OCRの基本概念から導入メリット/活用事例/最適なAI OCRの選び方まで解説してきました。特に多くの文書を取り扱う部署・会社の方にとってはかなり有益なものになるでしょう。
そんな弊社はAI OCRの導入/開発を支援する企業の1つであり、システム開発会社です。
- 「手書きの書類を処理することが多く入力の手間を軽減したい…」
- 「入力作業を外部委託しているが、委託を辞めてコスト削減したい…」
- 「DXの取り組みの1つとして何か始めたい…」
こんなお悩みありませんか…
弊社はお客様に合わせて様々な体制を組むことが強みでもあり、オフショア開発、ニアショア開発、オンサイト(常駐型)開発、受託開発など…お客様の状況に合わせてご提案いたします。相談は無料!なのでお気軽にお問い合わせください。