
デジタライゼーションは、ビジネスの効率化や新たな価値創造に不可欠な概念です。本記事では、デジタライゼーションの意味、DXやデジタイゼーションとの違い、具体的な事例をわかりやすく解説します。これからDX推進、デジタライゼーションに取り組み、企業の競争力強化を目指す方必見です。
弊社はシステム開発会社です。まさに様々な企業のDXの導入支援をしている会社であり、会社を立ち上げてから約25年経つこれまでの経験から本記事を通してデジタライゼーションについて、語っていきたいと思います。
1.デジタライゼーションとは?DXとの違いは?
1章ではそもそもデジタライゼーションとは何か?を解説していきます。
デジタライゼーションは、デジタル化することに意味は変わりませんが、ただデジタル化すれば良いわけではなくデジタル化することで、その先の付加価値は何があるかな?を念頭に置いてデジタル化することです。付加価値とは例えば…デジタル化することで「社員の業務効率化が図れる」、「顧客の満足度が高まる」、「新たな事業価値が生まれる」など…様々なケースが考えられます。これらを念頭に置いてデジタル化することをデジタライゼーションと呼んでいます。
それではさらに具体的に見ていきましょう。
1-1.デジタライゼーションの意味
デジタライゼーションは、単なるデジタル化とは異なり、組織全体の業務プロセスやビジネスモデルを変革する概念です。デジタル技術を活用し、業務の効率化、顧客体験の向上、新たな収益源の創出を目指します。
例えば、これまで手作業で行っていた業務をデジタル技術を用いて自動化したり、顧客とのコミュニケーションをオンライン化したりすることが挙げられます。これにより、時間や場所にとらわれない働き方を実現したり、顧客一人ひとりに最適化されたサービスを提供したりすることが可能になります。企業内部の変革だけでなく、サプライチェーン全体や業界全体の変革を促す可能性も秘めています。例えば、ブロックチェーン技術を活用することで、サプライチェーンの透明性を高め、不正行為を防止したり、新たなビジネスモデルを創出したりすることができます。このように、デジタライゼーションは、ビジネスのあらゆる側面に影響を及ぼし、近年では企業の競争力を高める上で不可欠な要素となってきています。
現代のビジネス環境において、デジタライゼーションは、企業が生き残るための必須条件と言っても過言ではないかもしれません。変化の激しい市場において、迅速かつ柔軟に対応するためには、デジタル技術を積極的に活用し、組織全体を変革していきましょう。
1-2.DX(デジタルトランスフォーメーション)との違い
DXは、デジタライゼーションをさらに発展させた概念で、企業文化や組織構造まで変革し、競争優位性を確立することを目指します。デジタライゼーションはDX実現のための一つの手段と言えます。
DXは、単に業務をデジタル化するだけでなく、顧客体験や従業員体験を向上させ、新たな価値を創造することを重視します。そのため、DXを推進する際には、技術的な側面だけでなく、組織文化や人材育成といった側面にも目を向ける必要があります。
例えば、ある企業が、顧客とのコミュニケーションをデジタル化し、オンラインでの問い合わせ対応を強化したとします。これはデジタライゼーションの一例と言えますが、もしその企業が顧客からのフィードバックを分析し、製品やサービスの改善に活かしたり新たな顧客体験を創造したりすれば、それはDXと呼んで良いことになります。
DXは、デジタライゼーションを基盤としつつ、より戦略的かつ包括的な視点から、企業の変革を推進する概念であると言えます。
DXについて詳しく知りたい方は、 DX推進がなぜ必要なのか?推進すべき理由と成功事例を紹介 の記事をご参照ください。
1-3.デジタイゼーションとの違い
さらにもう1つ似たような言葉で「デジタイゼーション」という言葉があります。字面も発音も似ているので分かりづらいですよね…。デジタイゼーションは、アナログ情報をデジタルデータに変換するプロセスを指します。例えば、「紙の書類をスキャンしてPDF化すること」などが該当します。デジタライゼーションの前段階として位置づけられます。
デジタイゼーションは、業務効率化の第一歩として重要ですが、それ自体がビジネスモデルを変革するわけではありません。紙の書類をPDF化することで、保管スペースを削減したり、検索性を向上させたりすることができますが、それだけでは顧客満足度に直接繋げることはできません。
そこでデジタライゼーションとは、デジタイゼーションによって得られたデジタルデータを活用し、業務プロセスを自動化したり、顧客とのコミュニケーションを最適化したりすることで、ビジネスモデルを変革することを目指します。つまり、デジタイゼーションは、デジタライゼーションを実現するための基礎となるプロセスであると言えます。
以下の図は某アパレル会社のDXまでの進め方ですが、この例が分かりやすいのではないでしょうか。
このように、デジタイゼーション、デジタライゼーション、DXは、それぞれ異なる概念でありながら、密接に関連し合っています。企業がデジタル変革を成功させるためには、これらの概念を正しく理解し、それぞれの段階に応じた取り組みを進めていく必要があります。
2.デジタライゼーションの具体的な進め方
2章ではデジタライゼーションの進め方について解説していきます。
2-1.業務プロセスのデジタル化
まずは、業務のプロセスをデジタル化できるところをデジタル化しましょう。例えば、これまで手作業で行っていた請求書処理業務を、RPAを導入することで自動化したり、紙の書類で行っていた承認業務を、ワークフローシステムを導入することで電子化したりすることができます。
このデジタル化することがデジタライゼーションを始める第一歩となります。この部分を前述のデジタイゼーションとも言います。
単に既存の業務をデジタルに置き換えるだけでなく、業務プロセス自体を見直し、最適化することが重要です。ボトルネックとなっている箇所を特定し、その原因を解消したり、不要な工程を削減したりすることで、より効率的な業務プロセスを構築することができます。
また、従業員の働き方改革にもつながります。単純作業から解放された従業員は、より創造的な業務に集中することができ、企業のイノベーションを促進することができます。
2-2.顧客との接点をデジタル化
続いて、顧客との接点をデジタル化できるところを考えましょう。例えば、オンラインストアでの商品購入体験を向上させたり、顧客の購買履歴や属性に基づいてパーソナライズされた情報を提供したりすることで、顧客満足度を高めることができます。
他にもチャットボットを活用することで、24時間365日、顧客からの問い合わせに対応したり、よくある質問に対する回答を自動化できたり、CRMシステムを導入することで、顧客情報を一元管理し、顧客一人ひとりに合わせた最適なコミュニケーションを実現することができます。
さらに、新たなビジネスチャンスを生み出す可能性も秘めています。例えば、顧客の行動データを分析することで、新たなニーズを発見し、それに応じた新製品やサービスを開発したり、顧客とのエンゲージメントを高めるための新たなマーケティング施策を展開することができるようになります。
2-3.データ分析基盤の構築
そして、デジタル化するだけではなく振り返りも重要です。収集したデータを分析し、ビジネス上の意思決定に役立てます。BI(ビジネスインテリジェンス)ツールやデータ分析専門家を活用することで、データに基づいた戦略的な判断が可能になります。データ分析基盤の構築は、デジタライゼーションの成果を最大化するためにも重要なフェーズです。企業は、様々なチャンネルから収集される大量のデータを分析し、顧客の行動パターンや市場のトレンドを把握する必要があります。
例えば、小売業者が、POSデータや顧客データを分析した結果、特定の地域で特定の商品の売上が伸びていることを発見したとします。その小売業者は、その地域でのマーケティング施策を強化したり、在庫を増やすことで、さらなる売上に繋げるといったことができるようになります。
このように、データ分析基盤を構築し、データを活用することで、企業はより迅速かつ的確な意思決定を行い、競争優位性を確立することができます。
3.デジタライゼーション推進の課題と対策
3章では、デジタライゼーションの課題とその対策について解説していきます。
3-1.人材育成の重要性
デジタル技術を活用できる人材を育成することが不可欠です。社内研修や外部セミナーを活用し、従業員のスキルアップを支援します。
育成するためには、育成するための人材が必要になるので、デジタル人材の採用にも力を入れる必要があります。デジタルスキルを持つ人材は、市場で不足しているため、積極的に採用活動を行う必要があります。採用した人材には、十分な研修機会を提供し、早期に戦力化することが重要です。
人材育成は、デジタライゼーションを成功させるための重要な要素の一つです。企業は、人材育成に積極的に投資し、デジタルスキルを持つ人材を育成・確保する必要があります。
DX人材の詳細については、DX人材とは?必要なスキル、育成方法、定着させるための手段を解説 の記事をご参照ください
3-2.セキュリティ対策の強化
デジタライゼーションを推進する上で、セキュリティ対策の強化は不可欠です。デジタル化が進むにつれて、情報漏洩やサイバー攻撃のリスクも高まります。企業は、セキュリティ対策を徹底し、情報漏洩やサイバー攻撃から守る必要が出てきます。
セキュリティ対策として、ファイアウォールの導入やアンチウイルスソフトの導入などが挙げられます。また、従業員に対するセキュリティ教育も重要です。従業員がセキュリティ意識を高めることで、ヒューマンエラーによる情報漏洩を防ぐことができます。
その他定期的にセキュリティ診断を実施し、セキュリティ対策の脆弱性を洗い出す必要があります。脆弱性が見つかった場合は、速やかに対応し、セキュリティレベルを向上させるように日々の努力が重要となってきます。
3-3.既存システムとの連携
新しいデジタル技術を導入する際には、既存システムとの連携が重要です。API連携などを活用し、スムーズなデータ連携をする必要が出てきます。長年使用してきた既存システムを抱えている場合が多く、新しいデジタル技術を導入する際に、既存システムとの連携が必要になります。
データ連携基盤を構築することで、様々なシステムから収集したデータを一元管理し、分析に活用することができます。データ連携基盤は、データの一貫性を保ち、データの品質を向上させる上で重要な役割を果たします。
その他クラウドサービスを活用することで、既存システムとの連携を容易にすることができます。クラウドサービスは、API連携機能を備えている場合が多く、既存システムとの連携を容易に行うことができます。
中には、システムが古すぎてAPI連携がうまくいかない等…ここで大幅にコストを使うケースも老舗企業だとまぁまぁあることです。コストを抑える手段は、 3.システム開発の費用を抑える手段 で解説していますのでご参考ください。
4.デジタライゼーション成功事例
デジタライゼーションの導入事例を実際に見てみたら、より想像できるのではないでしょうか。ということで、4章では事例を紹介します。
4-1.富士フイルムビジネスイノベーションの事例
富士フイルムビジネスイノベーションは、自社の複合機事業で培った技術を活かし、企業のドキュメント管理のデジタル化を支援しています。これにより、顧客の業務効率化に貢献しています。単に複合機を提供するだけでなく、企業のドキュメント管理に関する課題を解決するためのソリューションを提供しています。例えば、紙の書類を電子化し、検索性を向上させたり、ワークフローシステムを導入し、承認業務を効率化したりすることで、顧客の業務効率化に貢献しています。
また、AI技術を活用し、ドキュメントの自動分類やデータ抽出などの高度なサービスも提供しています。顧客は、より効率的にドキュメントを管理し、ビジネス上の意思決定に役立てることができます。
自社の技術力とノウハウを活かし、企業のデジタライゼーションを支援することで、新たなビジネスチャンスを創出しています。
4-2.中小企業におけるRPA導入
中小企業では、RPAを導入することで、経理業務や人事労務業務などの定型業務を自動化し、従業員の負担を軽減しています。中小企業にとって、業務効率化を実現するための有効な手段の一つです。大企業に比べてリソースが限られているため、RPAを導入することで人的リソースをより戦略的な業務に集中させることができます。
例えば、経理業務では、請求書処理や入金消込などの定型業務を自動化したり、人事労務業務では、給与計算や年末調整などの業務を自動化したりすることができます。これにより、従業員の負担を軽減し、業務効率を大幅に向上させることができます。
また、マネーフォワードクラウドなどのクラウドサービスと連携することで、RPAの導入・運用を容易に行うことができます。クラウドサービスは、初期費用を抑えることができ、柔軟な拡張性も備えているため、中小企業にとって最適な選択肢と言えるかもしれません。
4-3.IoTを活用した工場モニタリング
製造業では、IoTセンサーを導入し、工場の稼働状況や設備の異常をリアルタイムでモニタリングしています。これにより、故障を未然に防ぎ、生産効率を向上させています。IoTセンサーを導入することで、工場の様々な設備の稼働状況や温度、振動などのデータをリアルタイムで収集することができます。
収集したデータを分析することで設備の異常を早期に発見し、故障を未然に防ぐことができます。また、工場の稼働状況を可視化することで、生産効率の改善やコスト削減につなげることができます。
例えば、IoTセンサーを導入し、設備の温度データをモニタリングした結果、特定の設備の温度が異常に上昇していることを発見したとします。その設備を停止し修理を行うことで、故障を未然に防ぎ生産ラインの停止を防ぐことができました。
このように、IoTを活用することで、製造業は、生産効率を向上させ、コストを削減し、競争優位性を確立することができます。
「デジタライゼーション」まとめ
デジタライゼーションは、企業が持続的な成長を遂げるために不可欠な取り組みです。デジタライゼーションを進めるのにあたり本記事が参考になってもらえると幸いです。
デジタライゼーションは、単なる流行ではなく、企業が生き残るための必須条件と言っても過言でないです。デジタル技術を活用し、業務効率を向上させたり、顧客体験を向上させたり、新たなビジネスモデルを創出したりすることで、企業の競争力を高めることができます。
長期的な視点を持ち、段階的に取り組むことが重要です。すぐに結果が見えるような取り組みではないので、小さな成功体験を積み重ね、徐々に範囲を拡大していくことがステップとして良いのではないでしょうか。
また、デジタライゼーションを推進する際には、経営層のリーダーシップが不可欠です。経営層がデジタライゼーションの重要性を理解し、積極的に推進することで、組織全体を巻き込んだ変革を実現することができます。
弊社もデジタライゼーションを支援する企業の1つであり、システム開発会社です。お客様と一緒になってお客様の課題解決をシステムの提供という形で支援しています。また、様々な体制を組むことが強みでもあり、オフショア開発、ニアショア開発、オンサイト(常駐型)開発、受託開発など…お客様の状況に合わせてご提案いたします。相談は無料!なのでお気軽にお問い合わせください。