組み込み開発とは機械や装置など動かすためのシステムを開発すること

組み込み開発とは何かご存知でしょうか。

よく聞くシステム開発とは何が違うのだろうか。

言葉自体は聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。

本記事ではそんな組み込み開発をわかりやすく解説しております。

IT企業として約24年の業務実績を持つ、弊社の蓄積データを活用しながら執筆しております。

ぜひお読みいただき参考にしていただければ幸いです。

1.組み込み開発とは

組み込み開発は意外にも身近なものであるが、見たことが無いという人が多いと思います。

なぜかというと家電などと深い関りがあるためです。

まずは、組み込み開発が何を意味しているのか解説します。

1-1　機械や装置などに組み込まれるシステムを開発すること

組み込み開発とは機械や装置などに組み込まれるシステムを開発することを指します。

特定の機械や装置などを動かすためだけのシステムです。

もう少しわかりやすく具体例で説明しますと、洗濯機を動かすために組み込まれている（搭載）内部システムを開発することです。

洗濯機は蓋や回転ドラムや給排水用のホース、ボタンなど様々な部品が合わさってできています。

しかし、内部にシステムが無ければ動きません。

システムを組み込むことで、このボタンを押すとすすぎ時間の選択やスタートができ、スタートが押されると動作するといったことが全てプログラムされたシステムにより制御されています。

これが組み込み開発です。

流れのイメージとしては、下記の緑の基盤にプログラミングをしていき、完成した基盤を洗濯機に組み込みます。

動作確認を行い問題が無ければ完成となります。

1-2　よく聞くWEBシステムなどとは別物

WEBシステムとは完成形やシステムの目的が異なり、明確に別物と言えます。

実態のある家電など動かすためのシステムを作るのが組み込み開発です。

一方でWEBシステムとは、WEBブラウザ（Safariなど）を立ち上げて使用するシステムを開発することです。

具体的な例としては下記のサービスなどがあげられます。

WEBシステムは上記の具体例からもわかる通り、基本的にはPCまたはスマートフォンなどのクライアントからWEBブラウザを立ち上げて使用できるシステムです。

WEBブラウザ経由であるため、特定のクライアントだけでなく、WEBブラウザを立ち上げることができるものであればどのクライアントからでも利用することができます。

また、WEBシステムはシステムそのものを使用するのに対し、組み込み開発では完成したシステムを特定の機械や装置に組み込み、組み込まれた機械や装置を使用するという違いもあります。

WEBシステム開発とは？開発の準備や進め方、チームの作り方を解説

1-3　よく使用される言語は「C言語」

組み込み開発でよく使用される言語としては「C言語」です。

もちろん、C言語以外のC++などの言語が使われることもありますが、人気はC言語に劣ると考えます。

なぜかというと、C言語の方が処理速度が速いことやシンプルで互換性が高いことがあげられます。

1-4　組み込み開発で作られた物

組み込み開発で開発されたものは普段の生活の中で身近に存在します。

具体的には下記のものが挙げられます。

家電などの生活を支えるものからロボットなどの業務関係など幅広く開発されています。

2.組み込み開発の流れ

組み込み開発の流れについて解説していきます。

WEBシステム開発などの開発とそこまで大差はありませんが、機器の環境テストなど組み込み開発ならではのテストもあります。

2-1　要件定義～テストまで

まずは要件定義を行います。

今回開発するシステムに合わせて、実装すべき機能など全体の設計を行います。

開発は要件定義で定められた内容を基にPMが管理行い進めていきます。

次に設計を行います。

要件定義を基にハードウェアやソフトウェアの設計、実装方法を決めていきます。

この際にハードウェアに合わせたソフトウェアの設計をすることがポイントになります。

例えば、ハードウェアの仕様上、-5℃までしか冷やせない冷蔵庫を開発するとしましょう。

その仕様を上回ってしまうようなｰ10℃の設定をソフトウェアでプログラムしてしまうと故障など重大な問題を引き起こす可能性があります。

次にこれらを基に実装（プログラミング）へ進んでいきます。

実装後は回路基板へプログラムを流し込み、クロスデバックを実施します。

組み込み開発では開発環境（PCなど）と動作環境（冷蔵庫など）が異なります。

そのため、動作環境で実行したものを開発環境で結果を確認する必要があります。

このような環境でのデバックがクロスデバックです。

そして環境試験を実施します。

実際に使用される環境で例えば温度変化があっても正常に動作するのかなど、環境がよくない場所でも問題がないか品質の確認を行います。

2-2　システム開発のエンジニア別役割

フェーズごとに担当する役割の一覧です。

PMとPMOは全体の管理がメインとなるため、全てのフェーズに関与していきます。

SEは要件定義～実装まで関与しますが、状況によってはテストのフェーズにも関与することがあります。

PGは実装～のフェーズを主に担当をします。

合わせて確認しましょう。

3.組み込み開発をするには

組み込み開発を進めていくためには大きく分けて2つの進め方があります。

自社内に開発ノウハウがない、リソースが不足している場合は外注を、自社内にエンジニアがおり過去にも同様の開発をしたことがある場合は自社開発をそれぞれ検討していきましょう。

それでは詳しくみていきましょう。

3-1　外注

組み込み開発のプロに依頼します。

多少の費用は発生するものの、プロの技術で開発を進めてもらえるため、依頼後は待つだけで、きちんとした完成品が納品されます。

自社にエンジニアがいない場合などは積極的に外注を活用してみましょう。

下記は外注について解説した記事です。

併せてご参照ください。

ITアウトソーシングとは？メリット・デメリットや契約形態の違いを解説

3-2　自社開発

自社内で組み込み開発を進めます。

自社内にエンジニアがいる場合は自社開発を検討してみても良いと思います。

ただ、開発する難易度やエンジニアが持つスキルでは対応が難しい場合もあります。

試験的に開発するなどであれば、エンジニアの育成も兼ねて、多少背伸びでも挑戦しみても良いですが、販売目的など完成までの期間が短い場合などは外注を検討してみましょう。

下記は自社開発について解説した記事です。

併せてご参照ください。

自社開発とは？メリット、デメリットや活用方法を解説

4.組み込み開発の動向

組み込み開発の動向について解説していきます。

より便利な環境に進むべくIotやAIとの関わりが重要になってきています。

4-1　Iotとの関わり

Iotを分かりやすく表すと、例えば家電などのモノが状況に合わせて自動で稼働することや遠隔操作をするためにそのモノをインターネットと接続するための技術です。

これまでインターネットに接続されていなかったモノの利便性を大いに高めることができます。

Iotの技術が使われた製品はセンサーを搭載しており、そこで収集されたデータを基に組み込みシステムが解析を行い次のアクションへつなげる役割を担います。

それらを開発するためには、光センサーやGPSなどセンサーの種類の知見と技術などが求められます。

Iotをより普及させるためには、組み込み開発の知見と併せて持つことが重要です。このようなエンジニアが求められケースが増加してくると考えます。

4-2　AI技術

センサーで収集されたデータを組み込みシステムに搭載されたAI技術で解析することにより、状況に応じて最適な意思決定を行うなど、精度の向上が可能になります。

また、使い方次第ではより汎用性が高いシステムにすることができます。

そのためには、AIに関する知識が必須になります。

5.組み込み開発を依頼できる企業一覧（抜粋）

　組み込み開発を事業展開している企業を一部抜粋し一覧としております。

5-1　Ｓｋｙ株式会社

Ｓｋｙ株式会社は、家電のシステム開発を手掛けたのをきっかけに、デジタル複合機やカーエレクトロニクス、モバイル、情報家電、さらに自社商品として教育分野における学習活動ソフトウェアや、公共・民間向けクライアント運用管理ソフトウェアなど、幅広い分野でのシステム開発を展開しております。

Ｓｋｙ株式会社は、今後も社会のニーズに的確にお応えできる技術とサービスをご提供してまいります。

5-2　株式会社KSK

IoT、AI、ICTを駆使することで、すべての人とモノがつながり、豊かで持続可能な社会を実現する。私たちは、そんなスマート社会の実現を、ハードウェア設計とソフトウェア設計をソリューションとして提供することで支えています。

LSIやFPGAなどの半導体設計を中心としたシステムデバイス事業、組み込みソフトウェア開発からIoTソリューションまでを提供するIoTソリューション事業、そして、社会を守り、IoTにつながるモノの機械/電気設計を中心としたメカトロニクスデザイン事業の３つからなっています。

そして、「チームKSK」をスローガンに掲げ、チーム力をもとにした技術開発力と品質、プロジェクト遂行力が、お客様から高く評価されています。

5-3　ソーバル株式会社

ソーバルの組込み開発は、カメラ、プリンタ、各種家電、オフィス機器、医療、AI、自動運転・産業用装置等、様々な開発に携わり技術を蓄積してまいりました。

基板回路、論理回路設計などのハードウエア開発から組込みソフトウエア開発までの広い技術範囲で、開発プロセスのどのフェーズに対しても積極的にお客様を支援いたします。

5-4　株式会社アヴァンザ

印刷業界に特化した組込・制御システム開発で数多くの実績を持ち合わせています。

画像検査装置、カード発行・検査装置、計測機器など、ハードウェアメーカー様と共にお客様のニーズに向き合い、高いシステム品質でご要望にお応えいたします。　

5-5　アステック株式会社

組込システムとは、汎用的なパソコンとは違いCPUやOSが多岐にわたり、各機器のシステムに特化した基盤やOSで構成されるのが一般的で、基盤専用のOSポーティング技術やドライバー開発技術が必要になり、また専用の開発環境も必要になりソフトウェア技術の中でもかなりコアな部分の担当になります。

アステックは設立当初から、組込技術に優れた人材が多く在籍しており、特に大手企業からの信頼も得て組込関連のもの作りを長期間続けています。

組み込み開発のまとめ

例えば家電など、生活の上で身近にある技術が組み込み開発であるということはご理解いただけましたか。

本記事では組み込み開発とは？から進め方まで解説してきました。

組み込み開発について知識として取得できたのではないでしょうか。

これから、組み込み開発を依頼したい、何かを開発したいという方のまず1歩になっていれば幸いです。

ちなみにですが、業界的にはWEB系の開発の方が人気があったりもしますが、

その分、組み込み開発ができるエンジニアは希少性があり、重宝されることもあります。

組み込み開発エンジニアを目指す方もぜひ、参考としてみてください。