自分たちでシステム開発、アプリ開発、いわゆる自社開発を行いたいと考えているところではないでしょうか。
システム開発、アプリ開発は外注することも多いかと思いますが、自社で開発を進めることも検討していただきたい1つの方法だと考えております。
もちろん、準備の手間などの工数もかかりますが、自社内完結のため汎用性も高いのではないでしょうか。
本記事では、そんな自社開発についてIT企業として20年以上の業務実績・経験を持つ弊社のノウハウをフル活用しながら解説してまいります。
1.自社開発とは
1章では自社開発の概要について説明していきます。
1-1 自社開発は自社でシステムなどの開発を行うこと
企業が、システムやアプリケーションなどを自社内でエンジニアを活用して開発をすることです。
システムを開発する際など、外注を活用するケースもありますが、自社開発は全て社内で完結させます。
また、自社内で使うためのシステムや販売目的のシステムなどのケースに分けられます。
1-2 混同される用語との違い
自社開発と横並びにされる下記用語との違いについて解説をしていきます。
- 受託開発
- SES
- Sler
用語 | 内容 |
---|---|
自社開発 | 自社内でシステムなどの開発を行い、販売まで一貫して対応。 |
受託開発 | 依頼先である開発会社が依頼者から開発の仕事を請け負い、納品まで対応し報酬を依頼者から得る契約のことを指します。 |
SES | 基本、依頼者へ自社エンジニアを常駐させ、開発を行う。 |
Sler | 依頼先である開発会社が依頼者から開発の仕事を請け負い、納品まで対応し報酬を依頼者から得る企業を指します。 |
1-2-1 受託開発との違い
受託開発は外注であり、依頼者からシステム開発などの依頼を受けて開発を行い、完成品を納品する契約のことを指しています。(主に請負契約を締結します)
自社開発は自社内で自社エンジニアが開発するのに対し、受託開発は開発を外部の開発会社へ依頼し、依頼先の開発拠点で依頼先のエンジニアが開発を行います。
受託開発については、「受託開発すべきか迷った時の10のチェック項目」の記事で詳細をまとめています。
1-2-2 SESとの違い
SESはシステムエンジニアリングサービスの略称で、依頼者のオフィスへエンジニアが常駐し開発を行います。
自社開発は自社内で自社エンジニアが開発をするのに対し、SESは依頼先となる会社に依頼を出し、依頼先のエンジニアが自社拠点に常駐してもらい開発を進めてもらう点が違いとなります。
SESでは依頼先の会社と準委任契約を締結し、予め定められた作業をこなすことを求めます。
また、自社開発は仕様の検討から全て行いますが、SESでは部分的な業務を依頼するケースが多く、 プロジェクトの一部分の開発に対応できるエンジニアを常駐させるといった流れになります。
1-2-3 Slerとの違い
受託開発を行う企業のことを指します。
依頼者から開発の仕事を受け、企画から保守まで一貫した対応を全て行います。
一方、自社開発は自社で発案し、企画から保守まで一貫して自社エンジニアが対応する点が違いとなります。
SIerについては、「SIerとは?仕事内容やSESとの違い、会社選びのポイントを解説」の記事で詳細をまとめています。
2.自社開発のメリット
自社開発を行うことのメリットはこれから解説する4点あります。
それでは1つずつ見ていきましょう。
2-1 スケジュール管理がしやすい
自社開発であるため、受託開発のようにクライアントの意向に沿う必要がなく、自社の裁量でスケジュールに余裕を持たせたり、納期の調整が可能となります。
そのため、納期に間に合わないから深夜まで残業やエンジニアに負荷をかけることが減り、より働きやすい職場へとできるのではないでしょうか。
とはいえ、開発が完了した後は販売をする必要があるため、だらだらと長い時間をかけるのは効率が悪くなってしまうため、ある程度の納期は設定しておくと良いでしょう。
2-2 エンジニア採用に好影響
自社開発を行っている企業はエンジニアから人気となっております。
そのため、競争が働き高いスキルを持ったエンジニアの獲得も期待できます。
優秀なエンジニアを採用することで、開発効率を向上でき、質の高いユーザーから選ばれるシステム・アプリが開発できると考えております。
2-3 コミュニケーションロスが発生しにくい
自社内で開発を行うため、コミュニケーションが取りやすいこともメリットです。
SESなどでは他社が多数介入することで、1つの連絡をするのにも手間がかかったり、誤った伝達になってしまったりと、その修正をするのにも多数の時間をロスしてしまいます。
その点、自社であれば変な気を使う必要もなく、すぐにコミュニケーションが取れます。
2-4 外注をするより費用を抑えられる可能性がある
昨今のIT需要の高まりにより、外注を行う際の単価が上昇傾向にあります。
2023年から2024年にかけても上昇しており、今後も引き続き高まると予想されます。
もちろん、自社で開発を行うためには自社のエンジニアが必須になります。もし不足していれば採用をする必要もあります。
時間はかかるかもしれませんが、採用費用と年収を支払っても、外注をするよりはコストメリットがあると考えています。
参照:(発行)一般社団法人日本ニアショア開発推進機構 「エンジニア単価情報2024年版レポートについて」
3.自社開発のデメリット
自社開発のデメリットについて、3つに分けて解説していきます。
3-1 使用スキルに偏りが発生する可能性がある
自社開発では、社内で使用する環境(言語、開発方法など)がある程度固定化されてしまい、スキルに偏りが出る可能性があります。
視点を変えると、その分野のスペシャルリストになれると捉えることもできますが、多数の言語に触れたいというエンジニアがいる場合は注意する必要があります。
開発を担当する部署によって環境を変えてみるといった工夫をしてみると良いのではないでしょうか。
3-2 社外との人脈が作りにくい
基本的に社内での完結となるため、社外の人間と接する機会が少なく、新たな人脈を作りにくくなります。
時に人脈により「仕事が取れた」「スキルの向上につながった」などの良い利点があり、それらを望む方も一定数いると思います。
例えば、他社とのイベントを開催して、社員同士の交流の場を設けることも良いと考えます。
3-3 開発物が売れないと採算が取れない
自社開発では基本的に販売も含めて対応を行いますが、自社内で使用するもの以外はそもそも開発をしても売れなければ赤字になります。
そのため、事前に需要の確認や販路の計画など黒字化できる算段が必要となります。
また、場合によっては販売代理店を募集するなどの各種施策を立てておく必要があります。
4.自社開発をすべき3つのケース
こんな場合は自社開発をすべきというケースを3つ解説していきます。
4-1 社内で手の空いているエンジニアが開発以外のことをしている
エンジニアの仕事は開発をすることです。
そのエンジニアが開発以外のことをしたりしていませんか?
もしそうなら、早急に開発へ携われるよう調整していきましょう。
エンジニア自身も開発ができていないことへ不満を持っている可能性も高いです。
そこで自社開発を行うことをおすすめします。
何を開発するかは各社の状況次第ですが、エンジニアを活かすためにも取り組んでみましょう。
4-2 開発を進めながら仕様を調整したい
新規の自社アプリ開発を外部に依頼を出しても良いが仕様が大幅に変更する可能性があり、
依頼を出しにくいそんな状況にある方は、自社開発をしましょう。
外注する際に仕様変更がある場合は準委任契約(SES・ラボ)を業者から進められることが多いと思いますが、
派遣と異なり直接指揮命令ができないため、仕様が変わったら業者の担当者と打ち合わせし担当者からエンジニアに指示を出すという手間がかかる工程を踏む必要があります。
派遣契約であれば直接指揮命令ができますが、派遣料金の方が高かったり、管理工数がかかるなど、どちらにせよ手間であることは変わりません。
であれば、自社開発をおすすめします。
自社のエンジニアであるため、指示出しはもちろんのこと、得意不得意でチーム編成をすることも可能であり、効率よく開発ができると考えています。
4-3 社内のスキルアップをしたい
エンジニアを育成するためには、座学よりも実際に開発を行うことが効果的ではないでしょうか。
しかしながら、例えば未経験者を育成するために、SESで常駐させたいと考えても、
かなりの狭き門(案件がほぼない)を突破する必要があり、すぐに常駐先が見つかるとは限らないと思います。
それならば、自社開発で育成すべきではないでしょうか。
未経験者に限らず、ロースキルなエンジニアも自社開発で育成しつつ、ゆくゆくは自社内のコアメンバーとして育て上げることが会社にとってもエンジニアにとっても良いことだと考えております。
5.自社開発をすべきでない2つケース
状況によっては自社開発ではなく、外注を検討すべき2つのケースがあります。
自社開発をする予定の方で、下記に当てはまる方は再検討をおすすめします。
5-1 すぐに稼働できるエンジニアがいない
体制構築をしたくても、他の案件への参画など手の空いているエンジニアがそもそもいない場合は再検討をおすすめまします。
もしかしたら、採用ができる前提で予定している場合もあるかと思いますが、必ずしも採用ができるとは限らず、危険な橋であると考えます。
エンジニアが不足しているという背景から各社の獲得競争が激化しており、今後ますます採用が難しくなっていきます。
そのため、人員が揃ったタイミングで自社開発の計画を立てるのが望ましいですが、中長期的な見立てが必要になります。
とはいえ、中には急ぎで開発をしたい場合もあるかと思います。
その場合は迷わず外注を活用しましょう。
5-2 開発経験が無いものを開発する
新しく開発を自社で進めるにあたってはノウハウの有無は重要になります。
せっかく良いシステムが思いついても、ノウハウがない場合は失敗するリスクが高まってしまいます。
金銭的な負担など、会社への損害も小さくないことから、再度検討することをおすすめします。
ノウハウがない場合は外注を検討することをおすすめします。
外注先となる開発会社はプロです。
得意、不得意はあるものの、過去に類似する実績を持つ外注先へ依頼することで、失敗のリスクを軽減することができます。
6.自社開発の進め方
実際に開発を進める流れについて解説していきます。
主に下記の5つのステップとなります。
- 要件、仕様を決める
- 必要なスキルを持つエンジニアでチーム構成
- 開発スタート
- 完成後は運用・保守
- 販売開始
それでは1つずつ見ていきましょう。
6-1 要件、仕様を決める
何を開発するのか、仕様はどうするのかを決定します。
自社開発といえど、全体像が決められていないとトラブルの原因となります。
途中の仕様変更は柔軟にできますが、要件の整理はしっかりと行いましょう。
6-2 必要なスキルを持つエンジニアでチーム構成
前項で定めた要件にしたがい、開発環境に対応できるメンバーでチームの構成を行いましょう。
自社開発であるため、育成の名目で未経験者を組み込んだり自社の状況に合わせた構成も良いでしょう。
ただ、コアとなるメンバーを必ずアサインさせ、円滑に進むような体制とすることは忘れずにしましょう。
基本的には自社の社員でチーム体制を構築していくのが望ましいところですが、状況に応じて外注を検討することも必要になります。
6-3 開発スタート
開発がスタートしてからは、進捗の管理を行いましょう。
納期に対してのスケジュールを予め計画を立てておき、 遅れやボトルネックになっている部分の確認を行いましょう。
また、メンバーのモチベーション管理も重要となります。
6-4 完成後は運用・保守
開発が終了した後は運用、保守を行いましょう。
また、改修の作業も必要な可能性があるため、対応ができる体制を構築しておきましょう。
状況によって自社メンバーでの対応が難しい場合は外注の検討もしておきましょう。
6-5 販売開始
今回の開発が販売目的である場合は、顧客への提案を進めていきましょう。
自社で営業を行うもよし、販売代理店を募集するのも良いかと思います。
せっかく開発をしても売れなければ意味がないため、
特に注力して行う必要があります。
7.自社開発まとめ
自社開発について解説をしてきましたがいかがだったでしょうか。システム、アプリ開発における手法の1つですがぜひ取り入れてみてはどうでしょうか。
しかし、エンジニアが不足しているという状況でもあるため、外注という選択肢も併せて検討しましょう。
弊社は会社を立ち上げたから25年が経ちます。長年の経験からシステム開発の手段について様々アドバイスできると思います。相談は無料 です!