SESは「違法?」という考えは正しいのか解説します

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SESとは何かご存知でしょうか。

SES(システムエンジニアリングサービス)とは、ソフトウェアやアプリ、システムの開発や運用など外注するために用いられる業務委託契約の1種類です。

そして、様々なIT企業で活用されているSESですが、そこには取り入れられている3つの理由が存在します。

本記事ではそんなSESについて、IT企業として20年以上の実績を持つ、弊社のノウハウを活用しながら詳しく解説をしていきます。

ぜひ、ご参考にしていただければ幸いです。

 

 

 

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1.SESとは

SESについて

 

SESとは、システム開発を行う際の外注の1つであり、依頼先のエンジニアが依頼者の開発拠点に常駐し開発を行う手法です。

※内容によっては非常駐のケースもあります。

まず、SESの概要について下記の2点に分けて説明していきます。

 

  • 準委任契約の1種類
  • 依頼された作業を遂行する

 ここはSESに対しての理解を深めるためにも重要なポイントですので、しっかり抑えていきましょう。

1-1準委任契約の1種類

シスステム開発などを外注する際にはいくつかの契約形態がありますが、

その中の1つである「準委任契約」の1種類となります。

ラボ型とSESの契約の種類

 

SESでは、基本エンジニアが依頼者の拠点へ常駐して開発を行います。

また、SESは常駐が基本であるため、比較的近場のエンジニアがアサインします。

 

上記の図でSESと並んで記されているラボ型についても、触れておきます。

SESと同様に準委任契約の1種類となっているラボ型は基本的に非常駐で開発を行います。

依頼先が保有する開発拠点で開発を進めることが特徴になっており、より人件費が抑えられる海外拠点を用いているケースが増えております。

 

1-2依頼された作業を遂行する

SESでは依頼された業務を遂行することで業務が完了します。

請負契約と異なり、納品物の完成責任は問われません。

あくまで作業に対しての契約になる点を抑えておきましょう。

 

まとめると下記の図となります。

例:ECサイトの構築を行います。

ただ、プログラミングの部分を対応するエンジニアがいません。

プログラマー1名のみが必要のためSESを活用。

自社の開発環境での経験があるプログラマーが必要であり、SES会社に依頼。

開発環境に対応できるプログラマーを常駐させてもらい、円滑に開発が進んだ。

指定した作業を無事に遂行してもらったので、報酬の支払い。

SESの依頼例

 


2.SESは違法?と言われる3つの理由

SESは違法だ」そう聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

一方で多くのIT企業でSESが取り入れられている事実もあります。

そんなSESがなぜ違法と認識されるケースがあるのか、下記3つの理由について解説していきます。

  • 指揮命令権がないのに指揮命令をしている環境に見えてしまう
  • 多重下請け構造により二重派遣に見えてしまう
  • 事前面談など依頼者側でのエンジニア選別が行われているように見えてしまう

 それでは1つずつ見ていきましょう。

 

2-1 指揮命令権がないのに指揮命令をしている環境に見えてしまう

SESの特徴としては準委任契約を締結し、依頼者の元へ依頼先のエンジニアが常駐し開発を進めます。

そもそも、準委任契約においては、派遣契約と異なり、指揮命令権が依頼者にはありません。

なので指揮命令を依頼者から直接してしまうと法律違反となります。

あくまで依頼先からエンジニアに対して指揮命令が行われます。

 

ただ、実際に業務についての指示を出すのは依頼者からになるケースが多くなっております。

しかし指揮命令が直接エンジニアに対して行われていたのかは、証拠としてはなかなか残りづらく、そのため「違法?」と言われる理由になっています。

 

2-2 多重下請け構造により二重派遣に見えてしまう

多重下請け構造のしくみの画像

 

SESは多重下請け構造になっているケースが多々あります。

元請会社からさらに下請けへと案件を流していく構造が一般的になっており、常駐をしてくれるエンジニアがどこの会社なのか不明だったり、管理が行き届きにくくなる可能性があります。

特に、有事の際に責任の所在が不明になってしまう危険性もあります。

ここで問題となってくるのは、派遣契約である場合です。

前提として、派遣契約で派遣されたエンジニアをまた別な企業へ派遣するために派遣契約を結ぶことは法律で禁止されています。

注意すべきは派遣で受け入れたエンジニアを別な依頼先へ準委任契約で常駐させた場合、依頼先との間で指揮命令が行われているのではないかとみられてしまい、いわゆる偽装請負と二重派遣になってしまうケースです。

 

下記の図のように多重下請け構造が生み出した問題点になりますが、見方によっては違法と判断されれしまう可能性があるため、「違法?」と言われる理由になっています。

 

パターン別商流(全て2次請けSlerのエンジニアが依頼者の元へ常駐し開発)

パターン別商流(全て2次請けSlerのエンジニアが依頼者の元へ常駐し開発)

2-3 事前面談など依頼者側でのエンジニア選別が行われているように見えてしまう

SESでは大半は成約前に面談が行われるケースが多くなっております。

面談を行うことは何ら問題ありませんが、面談を行い業務請負体制に口を出すことは違法になります。

例えば、スキルの確認や今後やりたい事の確認などであればよいですが、面談後に合否を出すことは禁じられています。

しかし、暗黙な了解という側面もあり、また、合否を出している証拠がないため、

「違法?」の理由となっています。

 


3.SESが活用される理由

SESは「違法?」と言われることもありますが、それでも活用されている現状があります。

そんなSESが活用される背景にはこれから解説する3点がポイントになっていると考えます。

 

3-1 正社員として雇う必要がなくコストが削減できる

正社員として雇う必要がないため、採用の費用及び給料の支払いがなくコストの削減ができます。

もちろん、SES契約を企業間で取り交わした場合は、月次稼働に合わせて費用の支払いが発生しますが、

案件が終了したら契約も終了させることで、無駄な費用を生じさせず済みます。

また正社員として雇った場合、案件終了後に別な案件があれば良いですが、待機になれば稼働が無いのに給与の支払いが発生するなど、維持費のようなコストがかかります。

必要に応じて人材を投入できるコストの面でメリットがあるため、活用されています。

 

3-2 教育が不要

あくまで、依頼した業務を対応してくれる依頼先のエンジニアが常駐するため、

簡単な環境説明以外の教育となり得る対応は不要になります。

例えば、自社で採用をした場合、必ずしも即戦力とは限りません。

その場合、教育の時間が必要となり、教える者の時間も使ってしまいます。

長い目で見れば良いですが、採用費用や手間を考えるとSESを活用する方が効率が良いのではないでしょうか。

 

3-3 仕様変更に対応がしやすい

開発を進めていく中で、途中で仕様が変わっても対応が可能です。

受託開発であれば、予め決められた仕様を基に見積りを出しているケースも多く、仕様変更があれば、体制の変更と見積もりの見直しが発生するなど手間も時間もかかります。

その点、SESであれば、柔軟に仕様変更ができるなど、仕様が定まっていない案件でも活用ができます。

ただし、事前に取り交わした契約の内容から逸脱するようなことは不可です。

 


4.SESを活用するなら抑えておくべき3つのポイント

SESを活用する上で需要となる抑えておくべきポイントを3つに分けて解説していきます。

 

4-1 エンジニアの出入りが激しい

これは依頼先の中での問題になりますが、エンジニアからSES会社は好まれないケースがあります。

それは、自身の希望した内容以外にアサインされることや、多重下請け構造により給与が低いといった問題があるためです。

それにより、良い環境の会社に行こうと転職をする機会が増加してしまい、業務の安定感を阻害してしまう可能性があります。

離職率と在籍年数を確認の上、依頼先の検討を行いましょう。

 

 

4-2 エンジニアが持つスキルと経験により、進捗に差が出る

エンジニアによっては経験の差があり、指定の開発環境に対応ができても、経験が長い者ほど進み具合は早くなります。

契約上、事前に面談を行い(顔合わせなど合否に関わらないなら実施可能)配置の検討ができないため、依頼先に委ねるしかありません。

※事前面談を行い、合否を出してしまうと、偽装請負となってしまい、法律により罰せられます。

 

そのため、事前に依頼先に対して、依頼した内容が対応可能であるかを確認することが重要です。

依頼先は善管注意義務を負い、作業を適正に履行する必要があります。

 

4-3 セキュリティリスクがある

自社の社員以外のエンジニアが出入りするため、オフィス内のセキュリティには特に注意する必要があります。

もちろん、依頼先の会社とはNDA(秘密保持契約)を締結していることから、有事の際の責任は追求できます。

しかしながら、情報漏洩を防ぐためには自社のセキュリティルールを順守することです。

より一層の注意を払いましょう。

 


5.SESをおすすめするケース 3

特にSESを活用するべきケースについて、下記の3つを解説していきます。

もし、自社内の課題に合致する場合は、SESを活用してみましょう。

 

  • 自社エンジニアが突然退職した
  • 仕様内容を検討しながら進めたい
  • 作業が増加したため増員したい

 それでは、1つずつ見ていきましょう。

 

5-1 自社エンジニアが突然退職した

突然の退職で自社のエンジニアが手が空いておらず、体制が維持できない場合はすぐにSESを活用しましょう。

SESであれば、1名からでもスピーディに人材の確保ができます。

また、必要なスキルや担当内容などに適応できるエンジニアが常駐してもらえるため、最短で穴埋めが完了します。

 

突然の退職は退職代行サービスの登場など、社会の状況に合わせて増加しているのではないでしょうか。

いつ発生するかわからないことですが、リカバリーは急を要するためSESの活用を検討しておきましょう。

 

5-2 仕様内容を検討しながら進めたい

仕様内容が定まっていないが、開発を進めたいという方はSESを活用しましょう。

大まかな開発したいものは決まっているのであればSESで依頼を出して進めましょう。

SESは汎用性の高さがあるため、仕様変更にも対応ができます。

 

5-3 作業が増加したため増員したい

 開発案件が複数あり、手が回らなくなった場合の増員としてSESの活用を行いましょう。

 1名~複数名のチームでも依頼が可能であり、自社の増員数に合わせて依頼ができます。

 また、即戦力の人材が常駐となるため、開発のスピードを落とすことなく対応が可能となります。


6.SESを活用するまでの流れ

それでは実際にSESを活用するまでの流れを確認していきましょう。

ステップとしては5つとなります。 

順に1つずつ解説していきます。

 

 6-1 依頼内容の精査

今回依頼する業務内容の精査を行いましょう。

具体的には下記の内容を洗い出していきましょう。

 

  • 開発する全体像
  • 開発環境
  • 依頼する作業内容
  • 作業期間
  • 予算

 

6-2 依頼先の検討

依頼先の検討を行いましょう。

まずは前項で精査した内容への対応が可能であることは前提として、過去の実績や社員の在籍年数など、下記の内容を確認の上、選定しましょう。

 

  • 依頼する内容に類似する実績がある
  • 在籍年数5年以上の社員が7割を超えている
  • 取引先を確認し、上場している企業とのやり取りがある
  • 営業担当が親身である

 

この4点は必須で確認しましょう。

少しでも気になる点は確認を行い、自社の与信申請も併せて進めましょう。

 

SESでは、エンジニアと依頼元で事前面談が頻繁に取り入れられています。

主な目的としては、依頼する内容をエンジニアの経験から対応ができるのか確認する場になっています。

意すべき点としては、事前面談は合法であるが、依頼元が合否を出して体制に関与してしまうと違法になり、依頼元と依頼先の双方が罰せられます。

 

6-3 契約締結

契約はNDA(秘密保持契約書)、基本契約書、個別契約書の3点に分かれ、それぞれを締結する必要があります。

 

NDA・・・両社間で情報漏洩を起こさないように結ぶ取り決め

基本契約書・・・両社間での支払いサイトなど基本的な合意事項を締結(1回のみ)

個別契約書・・・依頼する作業内容などを記し案件ごとに締結(都度)

 

3点の締結が完了次第、開発業務へ移ります。

 

6-4 業務開始

常駐であるため、開発作業スペースを確保しましょう。

またセキュリティの観点から、PCも用意し貸与することが望ましいです。

 

進捗の確認などは基本的には依頼先の担当者とやり取りを行いましょう。

定例の時間を事前に取り決めをしておくと、スムーズに進捗確認ができます。

 

6-5 完了

全ての依頼内容が完了したら、依頼先から届く請求書の処理を行い完了となります。

注意点としては、準委任契約であるため、完成物の納品は基本ありません。

その代わり依頼した作業の履行義務が依頼先にあります。仮に、依頼した内容を全て履行したが、

完成した物のバグが多いということもあり得るでしょう。しかし、責任を依頼先に問うことはできません。

もちろんバグの改修として、契約を延長することは可能です。


7.まとめ

ここまで、SESについて解説をしてきました。

実際に活用するかはお読みいただいている、皆様の状況次第ではありますが、上手に活用することで、助けになることは確かです。

良い面、悪い面を含めて検討してみてはいかがでしょうか。

お読みいただいた皆様の一助になれば幸いです。

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プログラマー、システムエンジニアを経て2001年にサイバーエイド株式会社を設立。
2008年に株式会社インタラクティブ・コミュニケーション・デザインにジョイン後は、2014年にベトナム・ホーチミンでオフショア開発拠点を立ち上げ、2017年に現地法人ICD Vietnam Limited Liability Companyを創業し現在に至る。
創業以降は東京のみならず、各国内地方拠点(札幌、名古屋、大阪)においても積極的にオフショア開発を推進し、国内のITエンジニア不足の解消を目指す。
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